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2025年8月4日

「テーピングの役割や種類など知っていますか?」

ハイライト

テーピングは怪我の固定だけではなく、動作の誘導・安心感の付与・再発予防にも役立つ補助手段です。種類ごとの特性や貼り方の工夫を知ることで、スポーツから日常生活まで幅広く活用できます。ただし、正しく理解し、リハビリや運動療法と組み合わせることが重要です。

目次

テーピングの役割とは?

◾️怪我の保護:足関節捻挫や膝関節の障害などで、関節を不要な方向に動かさないよう制動。

◾️動作の誘導:正しいフォームを学習させ、不要な負荷を減らす。腰椎分離症のように動作制御が重要な病態では特に有効 。

◾️疼痛の軽減:皮膚や筋膜を刺激することで痛みの認知を和らげる効果。

◾️心理的サポート:貼ることで「守られている」安心感を与え、競技や仕事への復帰を支える。

種類別テーピングの特徴

強力な固定力。急性期の捻挫や骨折の補助に有効。

固定と可動性のバランス。復帰期に動作誘導として利用。

皮膚刺激を利用し、痛み軽減や感覚入力を狙う。効果は個人差が大きく短期的。

皮膚を保護する下地。かぶれ防止に有効。

部位別にみるテーピングの使い分け

  • 足関節

スターアップやヒールロックで内反捻挫予防。腰椎分離症患者でも下肢安定性が競技復帰に直結する 。

  • 膝関節

膝蓋骨の偏位を修正する貼り方が有効。階段やジャンプ動作の痛み軽減。

  • 肩関節

インピンジメントを防ぐために肩甲骨運動を補助。

  • 腰部

過伸展や回旋を制御することで腰椎への負荷を軽減。腰椎分離症の保存療法で併用されるコルセットに似た役割を担う 。

テーピングを行う際の注意点と実践のコツ

  • 貼付前の準備

皮膚を清潔に。発汗時や入浴後は避ける。

  • テンションのかけ方

端部は0%で貼る。強すぎると血流障害やかぶれを起こす。

  • チェックポイント

貼った後に痺れや蒼白があればすぐに除去。

  • 使用期間

長時間や連日の使用は避け、皮膚を休ませる。

  • 併用の重要性

腰椎分離症における装具療法や体幹筋トレーニングと同様、テーピングも単独よりリハビリと組み合わせた方が再発予防効果が高い 。

 

整形外科クリニックにおけるテーピングの活用

  • 評価に基づく処方

動作や筋力、柔軟性を確認し、必要な部位に最小限のテープを使用。

  • セルフテーピング指導

患者自身が自宅で再現できるよう練習。

  • チーム連携

学生やアスリートでは指導者に貼付方法や復帰基準を共有。腰椎分離症の復帰基準のように、チームで支える体制が重要 。

  • リハビリとの統合

テーピングで“動ける環境”を作り、その間に体幹強化や柔軟性改善を進める。

 

参考文献

1)Martin RL, Davenport TE, Fraser JJ, et al.: Ankle Stability and Movement Coordination Impairments: Lateral Ankle Ligament Sprains Revision 2021. J Orthop Sports Phys Ther. 51(4): CPG1–CPG80. 2021.

2)Willy RW, Hoglund LT, Barton CJ, et al.: Patellofemoral Pain: Clinical Practice Guidelines Linked to the ICF. J Orthop Sports Phys Ther. 49(9): CPG1–CPG95. 2019.

3)Parreira PCS, Costa LCM, Hespanhol Junior LC, Lopes AD, Costa LOP.: Current evidence does not support the use of Kinesio Taping in clinical practice: a systematic review. J Physiother. 60(1): 31–39. 2014.

4)Morris D, Jones D, Ryan H, Ryan CG.: The clinical effects of Kinesio® Tex taping: A systematic review. Physiother Theory Pract. 29(4): 259–270. 2013.

5)山田真也 他: 腰椎分離症に対するMRIを用いた治療方針の再評価. 整形外科と災害外科. 58(1): 1–6. 2009.

6)日本臨床スポーツ医学会: 成長期スポーツ選手の腰痛診療ガイドライン. 南江堂. 2017.

 

 



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