2025年5月25日
骨は静かに働き続ける臓器です。毎日少しずつ作られ、壊され、そしてまた再生されていく。そんな「骨の新陳代謝」の仕組みを理解すれば、骨折予防やリハビリの意義が見えてきます。
「骨」と聞くと、多くの方が“体を支える”構造的な役割を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際の骨の役割はそれだけに留まりません。骨は私たちの体内で極めて重要な“生きた臓器”として働いているのです。
◾️支持機能:骨格として全身を支える。
◾️運動機能:関節と筋肉と連動し、動きを可能にする。
◾️保護機能:脳や内臓を守る。
◾️造血機能:骨髄で血液細胞(赤血球・白血球・血小板)をつくる。
◾️カルシウムの貯蔵庫:血中カルシウム濃度を一定に保つ。
特に後半の2つ、造血とカルシウム代謝は、骨の代謝活動によって日々コントロールされています。つまり、骨は単なる“硬いパーツ”ではなく、内分泌や免疫とも密接に関係する、ダイナミックな器官なのです。
骨の中では日々“作る”と“壊す”が繰り返されており、このプロセスを「骨リモデリング(骨代謝)」といいます。
骨リモデリングは以下の2つのプロセスからなります:
◾️骨形成(形成担当:骨芽細胞)
新しい骨をつくる働きです。コラーゲンや骨基質を分泌し、それがカルシウムやリンによって硬化します。
◾️骨吸収(破壊担当:破骨細胞)
古くなった骨を壊し、体内に再吸収させる過程です。これにより、骨の内部は常に更新されています。
このサイクルはおおよそ3〜6ヶ月周期で進み、健康な成人では約10年で全身の骨が総入れ替えされるといわれています。
成長期の子どもでは骨形成が活発で、骨密度は年齢とともに上昇します。一方、高齢になると骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が低下しやすくなります。