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2025年5月11日

あなたは知っている?ウォーミングアップの重要性!!

ハイライト

運動前のウォーミングアップには、筋肉の柔軟性を高め、血流を促進し、関節や神経の働きを活性化する役割があります。準備運動を怠ると、筋肉や腱、関節に急激な負荷がかかり、怪我のリスクが増大します。本記事では、ウォーミングアップの重要性と、しないことによるリスクを科学的に解説します。

目次

ウォーミングアップの目的と効果とは?

ウォーミングアップ(準備運動)は、単に“体を温める”行為ではありません。運動を安全かつ効果的に行うための準備段階であり、以下のような効果が期待されます。

軽度の有酸素運動やダイナミックストレッチによって筋温が上昇し、筋肉や腱がより伸びやすくなります。筋が柔らかくなることで、急な収縮・伸張に対する耐性が高まり、肉離れなどのリスクを減らすことができます。

静的な状態から動的な運動に移行する際には、心拍数と血流を徐々に高めることが重要です。ウォーミングアップにより、筋肉に酸素と栄養素が効率良く届きやすくなり、パフォーマンスの向上にもつながります。

素早い動きや複雑な協調運動を行うスポーツにおいては、脳と筋肉の連携が不可欠です。ウォーミングアップにより神経伝達がスムーズになり、反応速度やバランス能力が高まります。

ウォーミングアップを怠ると何が起きる?主な怪我の種類とその原因

準備運動を怠ることで起こりやすくなる怪我は多岐にわたります。特に以下のような疾患が挙げられます。

筋肉がまだ冷えて硬い状態で急な負荷がかかると、筋繊維が切れる「肉離れ」が発生しやすくなります。ふくらはぎや太ももの裏(ハムストリングス)に多く見られます。

特に足関節や膝関節は不安定性が高く、ウォーミングアップを行わないことで筋力の立ち上がりが遅れ、関節の支持が間に合わず捻挫や前十字靭帯損傷のリスクが増します。

柔軟性が欠けた状態での反復運動や高負荷動作は、腱に大きなストレスを与え、慢性炎症や腱障害を招くことがあります。

運動前に体幹筋群がしっかり動き出していない状態で前屈やねじり動作を行うと、筋膜や椎間関節に過度の負荷がかかり、急性腰痛が発症することがあります。

運動前後に適したウォーミングアップとクールダウンの方法

▪️全身の有酸素運動(5〜10分)

例:ジョギング、ステーショナリーバイク、スキップなど

▪️ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)

関節の可動域を広げ、筋収縮を伴う動きで柔軟性を高める

例:レッグスイング、アームサークル、ハイニーなど

当院では、スポーツ障害に対する診断とリハビリテーションでのセルフケアを行っています。

Instagramでもストレッチなど投稿してるのでぜひチェックしてみてください!!

 

運動後に血流をゆっくりと戻し、筋肉内の代謝産物(乳酸など)を排出させるために必要です。軽い有酸素運動と静的ストレッチを組み合わせると効果的です。

どんな人にも必要?高齢者やリハビリ患者におけるウォーミングアップの意義

  • 高齢者における意義

加齢により筋力・柔軟性・神経伝達速度が低下しているため、ウォーミングアップは怪我の予防に特に重要です。歩行中の転倒や関節痛の予防にもつながります。

  • リハビリテーション場面での活用

術後や長期安静後のリハビリでも、運動前の準備として簡易的なウォーミングアップ(関節のモビリティ運動や呼吸運動)が怪我防止と動作再学習に役立ちます。

医学的根拠と診療現場での実例から見る、ウォーミングアップの重要性

  • 科学的データの紹介

2010年のSystematic Reviewでは、ウォーミングアップによって筋損傷の発生率が約30〜40%低下することが報告されています1)

また、FIFAが提唱する「11+」プログラムでは、準備運動の徹底がサッカー選手の怪我を劇的に減少させると証明されています2)

  • 臨床現場での事例

当クリニックでも、スポーツ障害で受診された患者様の中に「ウォーミングアップをしていなかった」と話す方が多数見られます。特に成長期の学生や復帰初日の社会人に多く、再発防止としてウォーミングアップ指導を実施しています。

参考文献

1)Fradkin AJ, Gabbe BJ, Cameron PA: Does warming up prevent injury in sport? The evidence from randomised controlled trials. Journal of Science and Medicine in Sport. 9(3):214–220, 2006.

2)Soligard T, Myklebust G, Steffen K, et al: Comprehensive warm-up programme to prevent injuries in young female footballers: cluster randomised controlled trial. BMJ. 337:a2469, 2008.

 



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