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2025年2月28日

なぜ体重が増えると、変形性関節症のリスクが上がるの?

ハイライト

体重増加は、膝や股関節などの関節にかかる物理的な負荷を増大させるだけでなく、脂肪細胞が分泌する炎症性物質が慢性的な炎症を引き起こし、変形性関節症(OA)のリスクを高めます。体重管理と健康的な生活習慣がOA予防において重要です。

目次

変形性関節症(OA)とは?

OAは関節の軟骨が摩耗し、骨同士が直接接触することで炎症や痛みが生じる慢性疾患であり、特に膝、股関節、手指などの関節が影響を受けやすいのが特徴です1)

初期段階では関節の軽い痛みやこわばりが見られますが、進行すると軟骨が完全に消失し、骨が露出して変形を引き起こすことで、痛みや可動域の制限がさらに悪化します

OAの発症リスクを高める因子には、加齢、遺伝、性別(特に女性)がありますが、肥満や体重増加が重要な環境要因とされています2

 

体重増加が関節に与える影響

体重1kgの増加は、膝関節に約4kg、股関節に約3kgの追加負荷をもたらします3。この継続的な負荷が軟骨を摩耗させ、OAの発症と進行を促進します

長期的に過剰な負荷がかかると、軟骨が劣化し、関節周囲の骨にも変形が生じます。骨棘(こつきょく)の形成や骨硬化症が典型的な症状として挙げられます

 

肥満が引き起こす慢性炎症

脂肪細胞は、炎症性サイトカイン(例:IL-6、TNF-α)を分泌し、慢性的な炎症を全身に引き起こします4。これらの物質が軟骨を分解する酵素を活性化し、OAを進行させます

慢性炎症は、関節液の性質を変化させ、靭帯や筋肉にも悪影響を及ぼします。その結果、痛みや腫れが増加し、関節の可動域が制限されます

 

体重管理がOA予防に与える効果

体重を5kg減少させるだけで、膝関節にかかる負荷を約20kg軽減することができます5。これにより、軟骨の摩耗を大幅に抑制することができます

体重減少により、脂肪細胞が分泌する炎症性サイトカインが減少し、慢性的な炎症が軽減されます

肥満予防の取り組み

関節に負担をかけにくい運動(例:ウォーキング、水中運動、ヨガ)を取り入れることで、筋力を維持し、関節の安定性を向上させます

当院のInstagramでは、トレーニングなど投稿してるのでぜひチェックしてみてください!!

 

抗炎症作用のある食材(例:魚、オリーブオイル、ナッツ類)や低カロリーで栄養価の高い食品を積極的に摂取することが推奨されます

定期的な体重測定や食事記録を行い、体重の変化を把握することが大切であり、十分な睡眠やストレス管理も体重管理に有益となります

 

参考文献

1)Felson DT, Zhang Y. : “The Epidemiology of Osteoarthritis.” Arthritis Rheum, 1998.

2)Messier SP et al. : “Weight Loss Reduces Knee-Joint Loads in Overweight and Obese Older Adults.” Arthritis Rheum, 2005.

3)Hunter DJ, Bierma-Zeinstra S. : “Osteoarthritis.” The Lancet, 2019.

4)Blagojevic M et al. : “Risk factors for onset of osteoarthritis of the knee in older adults.” Arthritis Rheum, 2010.

5)U.S. Department of Health and Human Services. “Physical Activity Guidelines for Americans,” 2018.

 



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