2025年9月9日
「熱中症予防や運動時の水分補給に欠かせない」と思われがちなスポーツドリンク。ですが飲みすぎは、糖分・塩分の過剰摂取につながり、肥満や生活習慣病、腎臓や歯への悪影響も引き起こします。本コラムでは、スポーツドリンクの正しい役割とリスク、整形外科的視点からみた注意点、そして賢い活用法について詳しく解説します。
スポーツドリンクは、主に「運動中の発汗によって失われる水分と電解質を効率よく補給すること」を目的として開発された飲料です。一般的な成分は以下のとおりです。
特に夏場や激しい運動時に、体液の浸透圧を調整して吸収を助ける役割があるため、熱中症対策として広く推奨されています。
しかし、問題は「その用途を超えて日常的に大量に飲んでしまう」ことです。
① 糖分過多による肥満・生活習慣病
スポーツドリンクには、100mlあたり4〜6gの糖分が含まれています。500mlのペットボトル1本で、角砂糖に換算すると約15〜20個分に相当します 。毎日のように摂取すれば、肥満、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病のリスクが高まります。
② 塩分過剰による高血圧・腎臓負担
ナトリウムも含まれているため、過剰摂取は高血圧や腎臓への負担となります。運動量の少ない人や子ども、高齢者にとっては特に注意が必要です。
③ 歯の健康への影響
酸性度が高く、糖分も多いため「酸蝕歯」や「虫歯」のリスクが上がります。特に就寝前の摂取は危険です。
④ 子どもへの影響
「甘くて飲みやすい」ことからジュース感覚で摂取する子どもが増えています。骨の成長期に肥満や栄養バランスの偏りを招くと、将来の運動器の健康にも悪影響を与えかねません。