2025年8月20日
「ヨガとピラティスって同じように見えるけど、何が違うの?」──そんな疑問を持ったことはありませんか?どちらも健康や姿勢改善に良いとされますが、その起源・目的・効果は大きく異なります。本記事では整形外科クリニックの視点から、両者の違いやリハビリへの応用、選び方のポイントまで詳しく解説します。
ヨガはおよそ5000年前の古代インドに誕生しました。当初は宗教的修行の一環として、心と体と精神を調和させることを目的として発展しました。呼吸法(プラーナヤーマ)、ポーズ(アーサナ)、瞑想(メディテーション)を組み合わせることで、心身を統一し精神を安定させることを重視しています。現代では、ストレス解消や柔軟性向上を目的として世界中で実践されています。
一方で、ピラティスは20世紀初頭にドイツ人ジョセフ・ピラティス氏によって考案されました。第一次世界大戦で負傷兵のリハビリを目的に開発され、解剖学や運動学を基盤にした「体幹の安定化」と「正しい姿勢の獲得」に重点を置いた運動法です。医療やリハビリとの親和性が高く、近年では整形外科領域でも積極的に導入されるようになっています。
ヨガでは主に腹式呼吸が使われ、息を深く吸って吐き出すことで副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせます。ポーズは静的保持が中心で、数十秒〜数分かけて体を伸ばし、内面と向き合う時間を大切にします。
ピラティスでは胸式呼吸を用い、肋骨を広げるように息を吸いながら体幹を安定させ、筋肉を効率よく使います。動作は静的というより動的で、繰り返しのエクササイズを通じて筋肉の協調性と安定性を高めます。動きの正確性が求められるため、「姿勢を整える運動療法」という側面が強いのです。