2025年3月11日
健康寿命を延ばすためには、適度な運動が重要です。特に1日の歩数が寿命や健康寿命にどのような影響を与えるのか、具体的な数値とともに解説します。適切な歩数を習慣化することで、体の健康だけでなく、心の健康もサポートできる方法をご紹介します。
健康寿命とは、病気や障害によって日常生活が制限されることなく、自立した生活を送れる期間を指します1)。厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命と健康寿命の間には約9~10年の差があり、この間に医療や介護が必要になることが多いと言われています2)。
健康寿命を延ばすためには、運動・食事・生活習慣の見直しが重要で、その中でも「歩くこと」は最も基本的かつ効果的な対策の一つです。
歩行は、心肺機能の向上や筋力維持、血行促進、そしてメンタルヘルスに対しても多くのプラス効果をもたらします3)。特に、定期的な歩行は慢性疾患の予防に大きく寄与します。
最近の研究では、1日の歩数が健康寿命や寿命に大きく影響を与えることが示されています。例えば、アメリカの研究によれば、1日4000~8000歩歩く人は、それ未満の歩数の人に比べて早期死亡リスクが大幅に低下することが分かっています4)。日本でも、1日7000~8000歩を歩く人は健康寿命が長い傾向があるというデータがあります5)。
さらに、1万歩以上を目指すことも有効ですが、8000歩程度でも十分な効果が得られるとされています6)。
研究結果から、健康寿命を延ばすための理想的な歩数は以下の通りです
▪️最低限必要な歩数: 4000歩
▪️推奨される歩数: 7000~8000歩
▪️高い健康効果が得られる歩数: 10000歩
特に中高年層では、無理のない範囲で7000~8000歩を目安に歩くことが推奨されます。この範囲であれば、過剰な負荷をかけずに心肺機能や筋力を維持できます。
定期的な歩行は心臓や肺の機能を高め、高血圧や心疾患の予防につながります7)。
歩行は下肢の筋力を維持し、骨密度を向上させるため、転倒や骨折のリスクを減らします8)。
歩行中にリズム運動が行われるこセロトニンが分泌され、ストレス軽減やうつ病予防に効果的です9)。
歩行は肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の発症リスクを低下させます10)。
1) 厚生労働省: 健康寿命と平均寿命の差. 厚生労働白書. 2020.
2) 世界保健機関(WHO): Global Recommendations on Physical Activity for Health. 2010.
3) Kyu HH et al.: Physical Activity and Risk of Mortality. The Lancet. 388(10051):1302-1310. 2016.
4) Lee IM et al.: Step Volume and All-Cause Mortality. JAMA Internal Medicine. 180(11):1495-1503. 2020.
5) 日本健康医学会: 運動と健康寿命の関係. 日本健康医学会誌. 34(4):45-50. 2022.
6) Aoyagi Y, Shephard RJ: Steps per Day and Health Outcomes. Journal of Aging and Physical Activity. 21(2):279-292. 2013.
7) Bassuk SS, Manson JE: Walking for Exercise. Circulation. 116(9):1081-1093. 2007.
8) Kohrt WM et al.: Maintenance of Bone Density with Exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise. 29(11):1386-1392. 1997.
9) Wipfli BM et al.: The Mental Health Benefits of Walking. American Journal of Preventive Medicine. 44(5):456-463. 2013.
10) American Diabetes Association: Physical Activity and Diabetes. Diabetes Care. 26(1):103-107. 2003.