
ハイライト
猫背や前かがみの姿勢が、ただの「見た目の悪さ」だけではないとしたら?実は姿勢の乱れが、脳の活動や自律神経、気分の浮き沈みにも深く関係していることがわかってきました。本コラムでは、脳と姿勢の知られざる関係を解き明かし、腰痛が生じやすい職業やリハビリテーションとのつながりまで、医療の視点からわかりやすく解説します。
目次
姿勢と脳はつながっている?〜気分に影響する理由〜
- 姿勢と感情のつながりは、心理学や神経科学の分野で近年注目されています。例えば、背中を丸めてうつむいた姿勢をとると、自然と気分も沈みがちになる、という経験は多くの人が感じているのではないでしょうか。
- 実際、ある研究では猫背の姿勢をとった人と、胸を張って背筋を伸ばした人とで、ストレスへの反応や自己評価に違いが出たことが報告されています。背筋を伸ばしたグループは、ポジティブな言葉をより多く使い、自信に満ちた発言が多かったとされています1)。これは、姿勢が単なる身体の形ではなく、脳内の神経活動にも影響を及ぼしていることを示唆します。
- さらに、姿勢は「セロトニン」や「ドーパミン」といった脳内ホルモンの分泌にも関与していることが分かってきました。正しい姿勢は脳幹への血流を保ち、自律神経系のバランスを維持しやすくするため、自然と気分が安定しやすくなるのです。
自律神経と背骨の不思議な関係
- 自律神経は私たちの体温調整、心拍、呼吸、消化などを無意識にコントロールしている神経系です。交感神経と副交感神経という2つのバランスによって成り立っており、これが乱れると、慢性的な疲労、倦怠感、不眠、さらには抑うつ感まで引き起こすことがあります。
- ここで注目したいのが「背骨」です。自律神経の通り道は、まさに背骨の中を走っています。特に胸椎から腰椎にかけての周辺には、交感神経幹という重要な神経経路が走っており、姿勢が悪くなることでこれらが圧迫され、神経の伝達に影響を及ぼす可能性があります。
- たとえば、長時間の前傾姿勢で首が前に出てしまうと、首の後ろを通る交感神経の一部が緊張状態になり、結果として「交感神経優位」となります。これは、身体が常にストレス状態にあるような感覚になり、慢性的な疲労や気分の落ち込みを招く原因となります。
腰痛が生じやすい職業とその背景〜なぜ姿勢が崩れるのか〜