2025年4月26日
気圧や湿度の変化が体に及ぼす影響をご存じですか?特に梅雨の時期には「天気痛」と呼ばれる関節の不調が増えます。本コラムでは、そのメカニズムと対策を解説します。
「天気が悪いと膝が痛む」「雨が降る前に頭が重くなる」このような症状は、一般的に「天気痛」と呼ばれています。正式な医学用語ではありませんが、気圧や気温、湿度などの気象の変化によって悪化する痛みや不調を広く含めた言葉として使用されています。
▪️関節痛(変形性関節症、リウマチ、外傷後の関節)
▪️頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)
▪️めまい、耳鳴り、気分の落ち込み
▪️古傷や術後部位のうずき
日本では特に梅雨時期に訴える患者が多く、整形外科外来ではこの時期に受診件数が増加する傾向があります。
気象の変化が体に影響を与える主な要因には「気圧」「湿度」「温度」の3つがあります。
低気圧になると、体を取り巻く外圧が下がり、体内の組織が膨張しやすくなります。特に関節内の滑膜や軟部組織が膨張すると、関節内圧が上昇し、痛みを誘発しやすくなります 1)。
湿度が高いと、汗が蒸発しづらくなり、体温調節がうまくいかなくなることで、自律神経のバランスが乱れると言われています。これが筋緊張や血行不良を引き起こし、関節痛の一因になります。
気象変化が続くと、自律神経が過敏になりやすく、交感神経の優位状態が続きます。これが痛みの閾値を下げることにつながります 2)。
▪️変形性関節症やリウマチなどの慢性関節疾患
▪️過去に関節や骨を骨折した経験のある人
▪️睡眠障害がある
▪️ストレスを抱えている
▪️生活リズムが不規則
▪️ホルモンの変化や筋力低下、自律神経の機能低下などが背景にあるとされます 3)。
▪️鎮痛薬の処方:アセトアミノフェンやNSAIDsが主に使用されます。
▪️ヒアルロン酸注射:関節の保護と炎症抑制に有効。
▪️理学療法:温熱療法、ストレッチ、筋力トレーニング。
▪️天気の変化を予測して準備:気象予報アプリの活用。
▪️適度な運動:筋肉を動かすことで血行促進し、痛みの予防に。
▪️生活習慣の見直し:十分な睡眠、バランスのとれた食事。
▪️温める習慣:特に就寝前の入浴で副交感神経を優位に。
天気痛による不快な症状に「また来た」と不安を感じると、症状が悪化することがあります。天気痛を「予測できる痛み」として受け入れることで、心理的負担を軽減することができます 4)。