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2025年3月24日

足関節捻挫は放置はダメ?慢性的な足の不安定症のリスク

ハイライト

足関節捻挫は軽視されがちですが、適切な治療を怠ると「慢性足関節不安定症」に進行し、日常生活に支障をきたすこともあります。本コラムでは、捻挫の定義・原因、放置によるリスク、診断法、リハビリの重要性についてわかりやすく解説します。

目次

足関節内反捻挫とは?定義と主な原因

足関節捻挫の中でも、最も頻度が高いのが「内反捻挫(ないはんねんざ)」です。これは足首を内側にひねることで、外側の靱帯(主に前距腓靱帯:ATFL)が損傷される状態を指します。

足関節内反捻挫は、足部が過度に内側へ倒れる(内反)ことにより、足関節外側の靱帯に牽引ストレスが加わって発症します。とくに前距腓靱帯(ATFL)が最も損傷されやすい靱帯で、次いで踵腓靱帯(CFL)、後距腓靱帯(PTFL)に影響が及びます。

▪️スポーツ活動中のジャンプや着地動作
▪️段差での踏み外し
▪️ヒールや不安定な靴の使用
▪️筋力低下やバランス不良による転倒

特にスポーツ選手や若年者に多いですが、筋力や感覚機能が低下している高齢者も転倒リスクが高く注意が必要です。

スポーツ外傷における足関節捻挫の頻度は非常に高く、全スポーツ外傷の中でも最も多い部類に入ります 1)

 

捻挫を放置するリスクと慢性足関節不安定症の関係

一見「軽いケガ」と思われがちな足関節捻挫ですが、適切な治療やリハビリを怠ると、慢性足関節不安定症(CAI)へと移行するリスクがあります。

捻挫を繰り返し、関節の安定性が保てなくなる状態です。靱帯の損傷だけでなく、感覚入力の障害(位置覚・平衡感覚の低下)や、筋力・協調性の低下などが複合して発症します 2)

▪️損傷靱帯の自然治癒不全
▪️筋力低下・関節位置覚の低下
▪️歩行障害や運動能力の低下
▪️捻挫の再発リスク増加
▪️将来的な関節炎(変形性足関節症)

実際、内反捻挫を繰り返すことで、軟骨や関節包にもダメージが蓄積し、将来的に関節症へと進行する例も報告されています 3)

 

損傷の程度をどう見分ける?診断と評価法

捻挫の治療方針を決めるためには、損傷の程度を正確に評価することが大切です。

 

▪️視診・触診:腫れ、圧痛、皮下出血の有無を確認。

捻挫後の足の写真↓

▪️徒手検査:前方引き出しテストや内反ストレステストで靱帯のゆるみを評価。
▪️画像検査:
X線検査:骨折合併の有無を確認
超音波検査:靱帯損傷の動的観察が可能
MRI検査:靱帯や軟部組織の詳細な評価に有効(クリニックにはMRIはありませんので、必要に応じて近隣病院へご紹介させていただきます。)

超音波で靱帯の損傷を評価↓

リハビリテーションが予後を決める!その重要性

▪️痛みや腫脹の軽減
▪️関節可動域の回復
▪️筋力の回復(特に腓骨筋群)
▪️感覚入力(バランス・位置覚)の再教育
▪️歩行や運動への復帰支援

▪️急性期:損傷の程度に合わせて固定 治癒を最優先にしていく
▪️亜急性期:軽い可動域訓練、荷重開始、足趾の運動で拘縮予防
▪️回復期:筋力トレーニング(特に腓骨筋群)、バランス練習(片足立ちなど)
▪️復帰期:競技特性に応じた運動、ジャンプ・カット動作練習

リハビリが遅れると、関節の固有感覚が十分に回復せず、再発率が高くなります。神経筋の協調機能を高めることが、再発予防の鍵となります。

 

当院のInstagramでも、トレーニングの方法をUPしています。興味ある方は是非読んでみてください!!

 

 

スポーツ活動への復帰に向けて

  • 復帰の基準(健側とほぼ左右差ないところまで改善するのが目標)

▪️足首の柔軟性:体重をかけた状態で壁に向かって膝をつけるようにし、壁と母趾の距離を計測
▪️サイドジャンプ:片脚で側方に最大でジャンプした際の距離を計測
▪️フロントジャンプ:片脚で前方に最大でジャンプした際の距離を計測
▪️下肢のリーチ距離:片脚で前方・後内側・後外側に足を伸ばした距離を計測

 

参考文献

1) Fong DT, et al. A systematic review on ankle injury and ankle sprain in sports. Sports Med. 2007; 37(1): 73–94.

2) Hertel J. Functional instability following lateral ankle sprain. Sports Med. 2000; 29(5): 361–371.

3) Karlsson J, Eriksson BI. Ankle ligament injuries. Scand J Med Sci Sports. 1997; 7(3): 144–150.



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