2025年9月4日
「運動したら気分が晴れる」「頭が冴える」と感じたことはありませんか? 運動には脳の血流や神経伝達物質の働きを整え、ストレスを解消し、集中力を高める作用があります。さらに睡眠の質改善や自律神経の安定化にも寄与し、日常生活のパフォーマンスを底上げしてくれるのです。本稿では、整形外科クリニックの視点から、運動と脳の関係を科学的に解説します。
運動をした直後に「気分がスッキリした」「頭が軽い」と感じる人は多いです。この感覚は単なる主観ではなく、脳科学的に説明できます。
運動により心拍数が上がると、脳へ送られる血液量が増えます。脳細胞に酸素や栄養が十分に行き渡ることで、神経活動が活発になり、思考のスピードや集中力が高まります。特に前頭葉(判断力・集中力を司る部位)の血流が増えることがわかっています。
軽い運動でも脳の神経細胞のつながり(シナプス)が活性化され、新しい神経回路が形成されやすくなります。この現象を「神経可塑性」と呼び、学習や記憶力の基盤となっています。
有酸素運動を続けるとエンドルフィンという脳内物質が分泌され、幸福感や多幸感をもたらします。これが「ランナーズハイ」と呼ばれる現象で、精神的なリフレッシュにもつながります。
運動の効果は「脳内化学物質の調整」によって説明されます。
別名「幸せホルモン」。運動で分泌が促され、気分を安定させ、ストレスに強くなります。特に朝のウォーキングはセロトニン分泌を高め、うつ症状の予防に役立つとされています。
やる気・快感・報酬系に関わる物質。運動によって分泌されると、達成感やモチベーションの向上につながります。
集中力を高め、脳を覚醒させる役割を持ちます。運動によって適度に分泌されると「頭が冴える」状態を作り出します。
近年注目されている物質で、脳細胞の成長・修復を助ける働きがあります。運動はBDNFの分泌を促進し、認知機能や記憶力の改善に関与することが明らかになっています。