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2025年5月13日

運動の後は、、クールダウンも大事です!!

ハイライト

運動後のクールダウンには、筋肉の疲労を軽減し、循環や代謝の正常化を促す重要な役割があります。正しい方法とタイミングで実施することで、怪我の予防やパフォーマンス回復に大きな効果をもたらします。本稿では、科学的根拠をもとにクールダウンの効果と適切な実施時間について解説します。

目次

クールダウンとは?その目的と基本効果

クールダウンとは、運動後に行う軽度な運動やストレッチングのことで、運動中に高まった生理的活動(心拍数、血流、筋緊張など)を徐々に平常状態に戻すプロセスを指します。

運動直後は交感神経優位で心拍数も高く、筋肉内には代謝産物(乳酸など)が蓄積しています。クールダウンを行うことでこれらをスムーズに排出し、循環動態を安定させます。

運動後に軽く動かすことで血流が改善され、乳酸の代謝が促進されます。これにより、翌日以降の筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness:DOMS)を緩和する効果があるとされています1)

筋肉が温かいうちにストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を維持し、関節の可動域の低下を防ぎます。

クールダウンを怠ったときに起こりうる身体への影響

急に運動をやめると、脚部などの静脈に血液が滞留し、めまいや立ちくらみの原因となります。軽い運動で心拍数を徐々に下げることでこれを防ぐことができます。

運動で拡張していた血管が急激に収縮すると、血圧の変動が起き、頭痛や倦怠感を引き起こす可能性があります。

クールダウンによって乳酸除去が促進されるため、実施しない場合には筋疲労が長引く傾向があります。これにより、次のトレーニングや仕事への影響が出ることもあります2)

正しいクールダウンの方法とその実施時間の目安

▪️軽度の有酸素運動(5〜10分)

ウォーキングや軽いバイク漕ぎなど。心拍数を安静時近くまで落とすことを目的とします。

▪️静的ストレッチ(5〜10分)

運動で使った筋群を中心に、反動をつけずにゆっくりと伸ばす。呼吸を止めず、20〜30秒程度保持。

全体で10〜20分程度が理想とされており、運動の強度や時間に比例して増やすのが望ましいとされます。

例:30分のランニング→10分のウォーキング+10分のストレッチ。

▪️痛みを感じるほど伸ばさない

▪️呼吸は深く自然に

▪️反動をつけない

▪️冷えないよう衣類で保温する

クールダウンの役割と医療現場での応用(リハビリや予防医学)

  • リハビリテーションにおける意義

関節可動域訓練や筋力トレーニングを含むリハビリ後にも、クールダウンは有効です。筋緊張を落とし、次回の治療・訓練への影響を少なくします。

  • 高齢者における注意点

加齢により自律神経の調整力が低下している高齢者では、急な運動停止は循環障害のリスクを高めます。ウォーキングなどを取り入れたクールダウンで安全に運動を終了させることが重要です。

  • 慢性疾患(高血圧、糖尿病など)患者への応用

運動後の循環変化に敏感な慢性疾患患者にとって、クールダウンはリスク管理の一環となります。特に血圧変動や脈拍数の変化を穏やかに調整する意味で必要不可欠です。

科学的根拠と臨床事例から見るクールダウンの意義

  • 科学的根拠

文献によると、クールダウンを行うことで心拍数や乳酸値の低下が有意に早まるという報告があります3)

また、ストレッチによる筋痛軽減効果も複数の研究で認められています。

  • 実際の臨床現場での応用

当院でもスポーツ障害後のリハビリや再発予防指導の一環として、患者様にクールダウンの導入を推奨しています。

実施後に「筋肉痛が軽くなった」「翌日の疲労感が違う」という声も多く寄せられています。

参考文献

1)Dupuy O, Douzi W, Theurot D, et al: An evidence-based approach for choosing post-exercise recovery techniques to reduce markers of muscle damage, soreness, fatigue, and inflammation: A systematic review with meta-analysis. Front Physiol. 2018;9:403.

2)Borne R, Hausswirth C, Bieuzen F: Relationship between blood flow and performance recovery: A randomized controlled trial. European Journal of Applied Physiology. 2017;117(6):1089–1098.

3)Vaile J, Halson S, Gill N, Dawson B: Effect of hydrotherapy on recovery from fatigue. International Journal of Sports Medicine. 2008;29(7):539–544.

 



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