2025年7月24日
「肩こりがつらい」「腕がだるい」「集中力が続かない」…その症状、実は“頸肩腕症候群”かもしれません。単なる疲労や姿勢の悪さでは片づけられず、現代社会の働き方が招く“生産性の落とし穴”とも言えるこの疾患。症状、原因、なりやすい職業、整形外科でのリハビリ対応、そして労働生産性への影響まで、医療の視点からわかりやすく解説します。
頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)は、首(頸部)、肩、腕(上肢)にかけて痛み、こり、しびれ、だるさなどの不快症状を感じる状態を指します。
特徴は「明確な器質的疾患(例:椎間板ヘルニアや骨折など)がないのに症状がある」という点です。
画像検査では異常が見つからないのに、本人は日常生活に支障をきたすほどの不快感を訴えることがあります。原因は、筋肉の過緊張、血流障害、神経の軽度圧迫、自律神経のアンバランスなどが複合的に関与していると考えられています。
似たような症状を示す疾患——たとえば頚椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群、頸椎症性神経根症など——を除外し、器質的な疾患が認められない場合に診断されます。
頸肩腕症候群は、特定の生活スタイルや職業によってリスクが高まります。
◆ 発症しやすい職業例
長時間の同一姿勢、特に前傾姿勢が原因で肩や首の筋肉が硬直。
腕を挙げたままの姿勢が続く仕事は、肩甲帯や頸部の筋肉に過度の緊張を強います。
利用者の移乗介助や長時間の立位業務、身体をねじる動作などが負担に。
腕の静的保持や細かい動作の繰り返しによって筋疲労が蓄積します。
長時間の運転やハンドル操作も首・肩・腕に慢性的な緊張を与えます。
◆ 個人の生活習慣も関与
これらが複合的に関与することで、頸肩腕症候群のリスクが高まるのです。