コラム・ブログ

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2023年10月13日

ハイドロリリースについて説明します

最近では「ハイドロリリース」や「筋膜リリース」という言葉をテレビや街中で目にされる機会が増えたと思いますが、そもそもハイドロリリースて何?と疑問に思われる方もいるでしょう。

 

ハイドロリリースを直訳してみると「ハイドロ(hydro)=水の」+「リリース(release)=放す、解放する」と言います。

直訳通り水を使って結合組織や神経の癒着を引き離すことを言います。

世間ではこの結合組織を筋膜と認識されていることが多く、そのためハイドロリリース=筋膜リリースと認識している人も多いですが、正確には「Fascia」と呼ばれる部位をリリースしており、筋膜リリースとは少し違います。

「Fascia」とはコラーゲン、弾性繊維、ヒアルロン酸、水分などから構成されており、全身の筋肉などを覆っている網目状の薄い膜のような組織でして、筋肉や関節や神経の動きを良くする仕事をしています。

近年ではこのFasiaに痛みを感じる部位があると言われており、Fasciaが硬くなると肩こりや腰痛など色んな症状を引き起こすことがわかってきました。

(注射前)

 

(注射後 Fasciaがはがれているのがわかります。)

 

では、どんな時にハイドロリリースをしたらいいのかと思いますが、ハイドロリリースは神経由来の痛み・痺れ、筋肉の痛み、可動域改善に適した治療です。特に痛覚変調性疼痛と言われる明確な原因がなく慢性的な疼痛を感じる所に効果的と考えられています。

先ほど説明したFasciaはエコーで見ないと確認できないため、エコーを用いてFasciaが肥厚している部位を正確に評価してそこをハイドロリリースする事が最も効果的です。

 

また、診療を行っているとブロック注射とハイドロリリースを同じと思われている方を多く見かけます。

●ブロック注射

神経に局所麻酔薬やステロイド剤を浸透させて神経の動きを鈍らせることで神経由来の痛みを改善する事を言います。

→症状によって薬の内容や量の調整が必要です

●ハイドロリリース

ハイドロリリースでは名前の通り水(生理食塩水)のみで鈍らせるというよりも引き離すことで痛みやしびれの改善もしくは可動域の改善が認められます。

→水しか使わないため内容や量の調節はいりません。引き離すことに重きを置いているためです。

 

私が日頃の治療でハイドロリリースが効果があると感じる症例は

・肩こり

・寝違えで首が動かない、もしくは以前から首が痛くて回らない

・手術後で手術した部位の周囲に鎮痛薬や湿布を張っても改善がなく原因不明の痛みがある

・肩が硬くて全然動かない

・スポーツ選手で筋肉痛が数か月たっても改善しない

・全身で鎮痛薬がなかなか効果なく数か月たっても改善がない痛み

(この痛みについては首から足先まで全身で適用されます)           ……などなど。

肩こりで受診されている方が多数ですが、自分の中で印象的なのは肩や足首で原因不明の痛みが数か月続いており痛みが強くて寝れないと悩まれている方にハイドロリリースを行い、その日の夜から痛みが消えて数か月ぶりにゆっくり寝る事が出来た患者さんがいました。

 

料金ですが、当院では保険が適用できます。手技料金だけですと以下になります。

1割負担:188円

2割負担:376円

3割負担:564円

(上記値段は手技料金だけでこれに初診料や再診料が加わります。)

 

これだけでもわかりにくい所もあると思いますので、疑問に思われた際はお気軽にお電話いただければご説明させて頂きます。



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