2023年11月29日
世間では肩が痛いとよく四十肩や五十肩と言われることが多いかと思います。
そもそも四十肩・五十肩てなんやねんと疑問に思われている方もいらっしゃるのじゃないでしょうか。
五十肩という言葉は江戸時代からある病気の概念で、『人五十歳ばかりのとき、手、腕、骨節痛むことあり、ほど過ぎれば薬せずとも癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。または、長命病ともいう(俚言集覧、1800年)』と漢方医の記述があります。皆さんも五十肩と聞くと「肩がなんとなく痛くなってきて動かしにくくなったけど、放っておいたらいつの間にか治ってしまった」というイメージで思い浮かぶことでしょう。
現在では、整形外科領域で五十肩という言葉は肩関節周囲炎と記載し、肩関節の周辺で起こる炎症性疾患をすべて含めた非常に広い範囲の疾患概念となっています。腱板損傷、石灰性腱板炎や変形性肩関節症などもこれにすべて含まれます。定義では「中高年以降に生じる疼痛と運動制限を主徴とする肩関節疾患すべて」とされています。こういうことなので、「肩が痛い!」と外来に来られる患者さんのほぼすべては、とりあえず五十肩(肩関節周囲炎)という診断がつけられてしまいます。実際は、肩関節周囲炎のなかに含まれているさまざまな疾患を見つけ出し、個々の病態に応じた治療をすることが必要です。
五十肩の一般的な治療法は「急性期」と「慢性期」に分けて考えます。
●急性期の場合
肩関節を無理に動かさずに安静にして肩を冷やさないように保温につとめる。消炎鎮痛剤の投与。自宅などで自分でできる運動としては痛みを出さないようにCodmanのおじぎ体操(おじぎによって肩を垂らすのみ)および振り子運動を行って肩周囲筋のリラクセーションを図る。
●慢性期の場合
可動域の改善が治療の主目的であり,理学療法士による可動域改善訓練ストレッチングを主体としたホームエクササイズ指導などの運動療法が主体となる。
難しい言葉で書くと四十肩や五十肩の診断と治療は以上のようになります。
(実際のエコー画像です)
(矢印の所に確認しながら正確に薬剤を注入しています)