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2026年4月26日

「サルコペニア」と「ロコモ」の違いとは?健康寿命を延ばすための予防とリハビリテーション

ハイライト

テレビなどで「サルコペニア」や「ロコモ」という言葉をよく耳にしますが、「どちらも足腰が弱くなることでしょ?」と混同されていませんか?実はこの2つには明確な違いがあり、予防へのアプローチも異なります。これらの状態を放置すると将来的に寝たきりになるリスクが跳ね上がります。本記事では、サルコペニアとロコモの決定的な違いと、両方を防ぎ健康寿命を長く保つためのリハビリテーションの重要性について解説します。

目次

健康寿命を脅かす2つのキーワード

日本は長寿国ですが、近年「寿命」だけでなく「健康寿命(自立して健康に生活できる期間)」をいかに延ばすかが大きな課題となっています。

この健康寿命を縮め、将来「要介護」や「寝たきり」になってしまう最も大きな原因は、脳卒中や心臓病ではなく、実は転倒による骨折などの【運動器の衰え】が第1位を占めています。

この運動器の衰えの警鐘として提唱されているのが『サルコペニア』と『ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)』です。似ているようで異なるこの2つを正しく理解することが予防への第一歩です。

「サルコペニア」とは何か?(筋肉の量の問題)

サルコペニアは加齢に伴って【筋肉の量が減少】し、同時に「握力」や「歩行速度」などの筋力が低下していく状態を指します。

私たちの筋肉量は20代〜30代をピークに、特別な運動をしなければ自然に減少していきます。特に足(下半身)の筋肉は落ちやすく、サルコペニアが進行すると「ペットボトルのフタが開けられない」「横断歩道を青信号の間に渡り切れない」といった症状が現れ始めます。
筋肉は体を動かすエンジンであると同時に、血液を巡らせたり糖代謝を行う重要な臓器でもあり、サルコペニアは全身の活力低下の根本原因となります。

「ロコモ」とは何か?(運動器全体・機能の問題)

一方の「ロコモティブシンドローム」は、日本整形外科学会が提唱した概念です。

こちらは筋肉だけでなく、「骨」「関節」「軟骨」「神経」といった体を動かすための器官全体が衰え、バランス能力や【移動機能(立つ・歩く)】が低下してきた状態の総称です。

つまり、サルコペニア(筋肉の減少)は、ロコモ(運動機能の低下)を引き起こす大きな原因の一つである、という包含関係にあります。関節が痛くて動けない・骨が脆くてちょっとしたことで骨折してしまう・筋肉が減って歩けない、これらすべての結果として生じる「移動困難な状態」をロコモと呼びます。

それぞれの簡単なセルフチェック方法

ご自身やご家族の状態を把握するために、簡単なセルフチェックを行ってみましょう。

  • サルコペニアのチェック:指輪っかテスト

両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ご自身のふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。
○ 隙間ができず、囲めない = 筋肉量は十分にあります
✖ ちょうど囲める、または隙間ができる = サルコペニアのリスクが高いサインです

  • ロコモのチェック:立ち上がりテスト

高さ約40cmの椅子に座り、両腕を胸の前で交差させます。
✖ 片脚で反動をつけずに立ち上がれない、あるいは両手を使わないと立ち上がれない場合は、ロコモの兆候があります。

要介護を防ぐための「栄養」と「運動」の両輪

サルコペニアとロコモ、どちらを防ぐにも最も重要なのは、『適切な栄養摂取』と『継続的なリハビリテーション』の組み合わせです。

  • 筋肉の材料となる「タンパク質」を摂取

肉・魚・卵・大豆などの良質なタンパク質を毎回の食事でしっかり摂ることが必要です。粗食になりがちな人は要注意です。

  • 安全な運動で関節と筋肉を同時に育てる

ウォーキングなどの有酸素運動に加え、スクワットや踏み台昇降などの筋力トレーニングが不可欠です。

もしすでに関節に痛みがある場合は、決して無理をせず整形外科をご受診ください。私たち専門医と理学療法士が、関節の痛みを治療しながら安全な運動メニューを作成し、効果的なリハビリを提供いたします。「年だから仕方ない」と諦めず、豊かな健康寿命を共に延ばしていきましょう!

参考文献

・日本整形外科学会 「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト」
・厚生労働省 「健康日本21(身体活動・運動)」

 



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