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忙しい毎日、お風呂をシャワーだけで済ませていませんか? 入浴は単なる汚れを落とす行為ではなく、医学的に認められた「温熱療法」の一つです。湯船に浸かることで得られる3つの効果(温熱・水圧・浮力)と、痛みを和らげる正しい入浴法について、整形外科医が解説します。
目次
湯船は自宅でできる「物理療法」。シャワーでは得られない3つの効果

整形外科のリハビリ室にある「ホットパック」などの物理療法機器。実は、自宅の湯船はこの効果を全身で受けられる優れた装置です。
「忙しいのでシャワーだけ」という方も多いですが、医学的に見るとシャワーと入浴は別物です。
シャワーは「洗浄」「リフレッシュ」には有効ですが、「筋肉のコリをほぐす」「痛みを和らげる」といった効果は不十分です。
湯船に浸かることで初めて得られる、以下の「3つの物理作用」こそが入浴の真価です。
- 温熱作用:体を芯から温め、血管を広げる
- 静水圧作用:水圧で血液を心臓に押し戻す
- 浮力作用:重力から解放し、筋肉と関節を休ませる
これらは、ただお湯に浸かっているだけで自動的に体に働きかけ、メンテナンスを行ってくれます。まさに「頑張らなくていいリハビリ」なのです。
血流改善の決定打。温熱作用が凝り固まった筋肉を溶かす

入浴の最大のメリットは、体温の上昇に伴う「血流の改善」です。
湯船に肩まで浸かると、体は温まり、皮膚の表面だけでなく体内の血管も拡張します。これにより、血液の流れが劇的に改善されます。
- 慢性的な肩こりや腰痛は、患部の血流悪化が原因であることが多いです。血流が滞ると、筋肉が緊張し、疲労物質や発痛物質が蓄積する「痛みの悪循環」に陥ります。
- 入浴による温熱作用は、この悪循環を断ち切ります。温かいお湯で筋肉の緊張がほぐれ、滞っていた血流が一気に改善。蓄積した老廃物が「洗い流される」ことで、痛みや疲れが軽減します。
また、関節のコラーゲン繊維は温めると柔らかくなる性質があり、入浴後に関節が動きやすくなるのはこのためです。
むくみ解消のメカニズム。「静水圧」がポンプ機能を助ける