コラム・ブログ

コラム・ブログ

2026年1月15日

子供の怪我を防ぐ「身体の柔軟性」:親子で取り組む予防習慣

ハイライト

子供の身体は元来柔らかいと思われがちですが、現代の生活環境では柔軟性が低下している子が少なくありません。身体の硬さは、スポーツ中の怪我や姿勢の悪化に直結します。本記事では、子供の柔軟性と怪我の関係、そして家庭でできる予防習慣について、整形外科のリハビリテーションの視点から詳しく解説します。

目次

子供の身体は本当に柔らかい?現代の子供たちが抱える硬さの正体

一般的なイメージとして、子供の身体は弾力があり、ひもやゴムのように柔らかいと思われています。確かに、成長期の子供は骨がまだ完全に固まっておらず、関節の可動域も広い傾向にあります。しかし、近年の子供たちの身体を整形外科的な視点で観察すると、驚くほど身体の硬い子が増えているのが現状です。

なぜ、子供たちの身体が硬くなっているのでしょうか。その背景には、いくつかの現代的な要因が隠されています。

生活習慣の変化

スポーツ習慣の偏り

柔軟な身体とは、単に前屈ができるということだけではありません。関節を本来の範囲までスムーズに動かせ、筋肉がしなやかに伸び縮みできる状態を指します。この土台が崩れていると、後述するような様々なトラブルの引き金となってしまいます。

柔軟性が低下すると起きる怪我のリスク。捻挫や骨折に繋がるメカニズム

身体が硬い状態で激しい運動をしたり、不意の衝撃を受けたりすると、大きな怪我のリスクが高まります。筋肉や関節のしなりが失われていると、衝撃を吸収することができず、その負担が直接、関節や骨に伝わってしまうからです。

捻挫や脱臼のしやすさ

スポーツ障害への発展

姿勢と集中力の低下

このように、子供の柔軟性は単なる「体力測定の数値」ではなく、日常生活やスポーツを安全に楽しむための必須条件と言えるのです。

身体の「センサー」を磨く。怪我をしにくい動きを作るための運動遊び

怪我を防ぐためには、単に筋肉を伸ばすだけでなく、自分の身体をどう動かすかという「身体感覚」を育むことが重要です。これを専門的には「固有受容感覚」と呼びますが、簡単に言えば「身体のセンサー」です。

センサーを育む遊びの例

子供にとって、遊びは最高のリハビリテーションであり、トレーニングです。決められた形にとらわれず、様々な方向に身体を動かす環境を作ってあげることが、将来の健全な骨格形成に大きく貢献します。

専門的な視点でのチェック。整形外科やリハビリテーションが果たせる役割

家庭だけで「うちの子の硬さは異常なのかな?」と判断するのは難しいものです。そんな時こそ、整形外科クリニックの専門スタッフを頼ってください。私たちは、診察や理学療法を通じて、お子様の身体の状態を客観的に評価します。

クリニックで行う評価のポイント

  • 関節可動域テスト:どの関節がどの程度動くか、左右差がないかを精密に測定します。
  • アライメント(骨配列)チェック:O脚やX脚、扁平足、脊柱の側彎などがないかを確認します。
  • 筋出力とバランス:単なる筋力だけでなく、思い通りに筋肉を動かせているかを評価します。

リハビリテーションの現場では、単に怪我を治すだけでなく、「怪我をする前よりも動きやすい身体」を作ることを目指します。理学療法士は、お子様一人ひとりの硬さの原因を見極め、遊びの要素を取り入れた運動プログラムを作成し、指導します。痛みが出てから受診するだけでなく、定期的な「身体の健診」として活用していただくことで、大きなトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

今日からできる親子ストレッチ。楽しみながら柔軟な身体を育てるポイント

最後に、ご家庭で今日から取り組めるおすすめの方法を紹介します。一番のポイントは、大人が「やらせる」のではなく、親子で「楽しむ」ことです。

無理のない親子ストレッチの心得

おすすめの簡単ポーズ

子供の身体は、正しい刺激を与えれば柔軟性をすぐに取り戻せる可能性を秘めています。日々のお子様の動きに目を配り、少しでも「動きにくそうだな」と感じたら、一人で悩まずに私たち整形外科の専門家に相談してください。大切なお子様が、元気に走り回り、スポーツに没頭できる未来を、一緒に守っていきましょう。

参考文献

1. 日本整形外科学会 監修 「スポーツ障害を未然に防ぐ – 成長期のスポーツ指導ガイドライン」
2. 公益社団法人日本理学療法士協会 「子供の身体機能と運動遊びの意義」
3. 厚生労働省 「アクティブガイド – 子供の身体活動・運動に対する指針」
4. Micheli, L. J., & Miller, A. D. (2014). “Prevention of youth sports injuries.” North American journal of sports physical therapy.
5. 日本小児整形外科学会 「学校保健における運動器検診の重要性」



一覧へ