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2026年2月26日

朝の一歩目が激痛!「足底腱膜炎」の原因と、足裏のクッションを取り戻すストレッチ

ハイライト

朝起きて最初の一歩目、カカトに激痛が走りませんか? それは「足底腱膜炎」の典型的なサインです。ランナーだけでなく、立ち仕事の方や加齢によっても発症するこの痛み。なぜ朝が一番痛いのか? そのメカニズムと、足裏のクッション機能を取り戻すためのストレッチ方法を整形外科医が解説します。

目次

なぜ「朝」が一番痛いのか? 寝ている間に起きている足裏の変化

足底腱膜炎の最大の特徴は、「朝起きて最初の一歩目が痛い(スタートペイン)」ことです。そして、歩いているうちに徐々に痛みが和らいでくることが多いため、「治ったかな?」と勘違いしてしまいがちです。
なぜ朝が痛いのでしょうか。それは寝ている間に足首が伸びた状態(底屈位)で固定され、足底腱膜が縮こまって硬くなっているからです。
硬くなったゴムを急に引っ張ると切れそうになるのと同じで、起床時の硬い腱膜に体重という負荷が一気にかかることで、微細な断裂が生じ、激痛が走るのです。

痛みの震源地。「足底腱膜」が悲鳴を上げる3つの原因

足底腱膜は、カカトから足の指の付け根まで扇状に広がる、強靭な膜です。これは土踏まず(アーチ)を支える弓の弦のような役割を果たしています。ここに負担がかかる主な原因は以下の3つです。

1. オーバーユース(使いすぎ)
マラソンや長時間の立ち仕事で、バネの伸縮を繰り返しすぎた結果、膜が変性してしまうケース。

2. 加齢による柔軟性の低下
年齢とともに腱膜自体の水分量が減り、弾力性がなくなって硬くなるケース。40代〜50代に好発するのはこのためです。

3. アーチの崩れ(扁平足・ハイアーチ)
扁平足は腱膜が常に引っ張られた状態になり、逆に甲高(ハイアーチ)は柔軟性が乏しく衝撃を吸収できません。どちらもリスクとなります。

トゲができている? レントゲンに写る「骨棘」の正体

足底腱膜炎の患者さんのレントゲンを撮ると、カカトの骨に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲのような突起が見つかることがあります。
「このトゲが刺さって痛いんですね!」と驚かれますが、実はこのトゲ自体が痛みの直接の原因ではないことがほとんどです。
骨棘は、長年にわたって腱膜が骨を引っ張り続けた結果、防御反応として骨が変形した「歴史の痕跡」です。ですので、手術でトゲを削らなくても、炎症さえ治まれば痛みは消えます。

クッション機能を取り戻す。足裏とふくらはぎのストレッチ

硬くなった足底腱膜を柔軟にし、衝撃吸収能力(クッション性)を取り戻すことが治療の鍵です。

● 足裏のストレッチ
1. 椅子に座り、患側の足を反対の膝の上に乗せます。
2. 足の指をすべて手で持ち、足の甲側(スネの方)へグーっと反らせます。
3. 足裏がピンと張った状態で20秒キープ。これを朝一番、ベッドから降りる前に行うのが最も効果的です。

● アキレス腱伸ばし
ふくらはぎの筋肉と足底腱膜は、カカトの骨を介してつながっています。ふくらはぎが硬いと足底腱膜も引っ張られてしまうため、アキレス腱もしっかり伸ばしましょう。

インソールと靴選び。痛みを減らすための環境設定

ストレッチと並行して重要なのが、患部にかかる負担を減らすことです。
カカト部分にクッション性のある中敷き(ヒールカップ)を入れるだけで、着地の衝撃を和らげることができます。
また、家の中で裸足で歩くとダイレクトに衝撃が伝わるため、痛みが強い時期は室内でもクッション性のあるスリッパや室内履きを使用することをお勧めします。

参考文献

1. 日本整形外科学会 「足底腱膜炎」
2. Martin, R. L., et al. (2014). “Heel pain—plantar fasciitis: revision 2014.” Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy.
3. 日本足の外科学会 「足の外科テキスト」
4. 厚生労働省 「足元の健康」
5. DiGiovanni, B. F., et al. (2003). “Tissue-specific plantar fascia-stretching exercise enhances outcomes in patients with chronic heel pain.” The Journal of Bone and Joint Surgery.



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