コラム・ブログ

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2026年2月20日

運動前は「動的」、寝る前は「静的」。リハビリのプロが教えるストレッチの使い分け

ハイライト

「運動前に念入りに柔軟体操をする」これ、実はパフォーマンスを下げる原因になるかもしれません。ストレッチには「体を動かすスイッチ」と「体を休めるスイッチ」があり、正しいタイミングで使い分ける必要があります。怪我を防ぎ、効果を最大化する「動的」と「静的」、2つのストレッチの極意を伝授します。

目次

ストレッチは一種類ではない。目的が真逆の2つのアプローチ

「ストレッチ」と聞くと、多くの人が「座って前屈し、グーっと伸ばす」姿を想像するでしょう。しかし、リハビリテーションやスポーツ医学の世界では、ストレッチを大きく2種類に分けて考えます。
それが「動的ストレッチ(ダイナミック・ストレッチ)」と「静的ストレッチ(スタティック・ストレッチ)」です。この2つは効果が全く異なり、間違ったタイミングで行うと、逆に怪我のリスクを高めてしまうことさえあります。

運動前は「動的ストレッチ(ダイナミック)」。眠った筋肉を呼び覚ます

これから運動を始めるときや、朝起きて活動を開始するときに行うべきなのが、この動的ストレッチです。
ラジオ体操や、サッカー選手が試合前に行うブラジル体操がこれに当たります。

● 特徴と効果

※ ここで静的ストレッチ(ゆっくり伸ばす)をやりすぎてしまうと、筋肉が緩みすぎて力が入りにくくなり、ジャンプ力やダッシュ力が低下するという研究データがあります。

運動後は「静的ストレッチ(スタティック)」。疲労を流し回復を促す

運動を終えた後や、お風呂上がり、寝る前に行うべきなのが静的ストレッチです。反動をつけずに、ゆっくりと筋肉を伸ばし、その姿勢を20〜30秒キープします。

● 特徴と効果

  • 使い終わって縮こまった筋肉を元の長さに戻します。
  • 血流を良くし、溜まった疲労物質を流します。
  • 副交感神経を優位にし、リラックス効果を高め、良質な睡眠へと誘います。

やってはいけないNG例。反動をつける、息を止める、痛みを我慢する

どちらのストレッチを行う場合でも、共通して避けるべき「3つの間違い」があります。

1. 反動をつける(バリスティック)

  • 「イチ、ニ、サン!」と勢いよく弾みをつけると、筋肉は防衛本能(伸張反射)で逆に縮こまってしまい、筋繊維を痛める原因になります。

2. 息を止める

  • 呼吸を止めると血圧が上がり、体も緊張してしまいます。「吐く」ことを意識し、細く長く息を吐きながら伸ばしましょう。

3. 痛いまでやる

  • 「痛い方が効く」は間違いです。「イタ気持ちいい」ところで止めるのが正解です。強すぎる刺激は筋肉を硬くするだけです。

 

継続は力なり。毎日3分の「お風呂上がりストレッチ」で体は変わる

体が硬いと嘆く人の多くは、「週に1回、ジムで1時間ストレッチをする」ようなタイプです。しかし、筋肉はゴムと同じで、少し伸ばしたくらいではすぐに元の形に戻ってしまいます。
大切なのは「毎日少しずつ」です。お風呂上がりの体が温まっている時に、たった3分、太ももの裏やふくらはぎを伸ばすだけで十分です。これを3ヶ月続ければ、確実に体は変わります。
正しい知識で、あなたの体を「錆びない体」へと変えていきましょう。

参考文献

1. 日本ストレッチング協会 「ストレッチングの基礎知識」
2. Behm, D. G., & Chaouachi, A. (2011). “A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance.” European Journal of Applied Physiology.
3. 厚生労働省 「e-ヘルスネット:ストレッチングの実際」
4. 山本利春 「スポーツリハビリテーションの臨床」
5. 日本理学療法士協会 「運動療法ガイドライン」



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