コラム・ブログ

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2025年10月6日

“食べすぎた翌日”のリセット法 消化と代謝を助ける食事と軽運動のコツ

ハイライト

「つい食べすぎた…」そんな翌日に必要なのは“我慢”ではなく“整える”こと。消化器の回復と代謝リズムを助ける食事と軽運動の工夫を、整形外科の視点から解説します。体をリセットする正しい方法を知ることで、健康的な代謝と筋肉の働きを守りましょう。

目次

食べすぎた翌日に起こる体の変化──消化と代謝の視点から

食べすぎの翌日は、胃腸が消化に追われて機能が低下します。

特に脂質や糖質の多い食事は胃排出時間を遅らせ、消化酵素の働きを抑制します。これが「胃もたれ」「だるさ」「むくみ」などの不快感を引き起こす要因です1)。

大量の糖質摂取によりインスリンが過剰分泌されると、翌日は低血糖気味になり、倦怠感や集中力低下を招くことがあります。

これを放置すると代謝リズムが崩れ、脂肪蓄積を助長してしまいます。

塩分摂取が多いと水分が細胞外に溜まり、“むくみ”の原因になります。特に夜間に塩分過多の食事をした場合、翌朝の体重増加はほとんどが水分です。焦って食事を抜くのではなく、体内の循環を整えることが大切です。

消化を助ける食事のポイント──“抜く”より“整える”

翌日に極端な絶食をすると、胃酸の過剰分泌や血糖の乱れを起こす恐れがあります。

むしろ、**消化に優しい食材で“内臓を休ませながら回復させる”**ことが重要です。

  1. おかゆ・うどん:炭水化物を分解しやすく、胃への刺激が少ない。
  2. 豆腐・白身魚:良質なたんぱく質を少量補給。筋肉の分解を防ぎます。
  3. 大根おろし・キャベツ:消化酵素が豊富で胃酸のバランスを整える。
  4. 温かいスープ・味噌汁:水分と電解質を自然に補給でき、胃腸を温める。

脂っこい料理、冷たい飲み物、アルコール、スイーツ類は消化を妨げます。

コーヒーや炭酸水も刺激になるため、1日程度控えるのがおすすめです。

翌日の食事リズムと水分補給──内臓を休ませる工夫

  • 朝:固形物を控え、温かい水分から

朝は白湯や具の少ないスープで体を温めましょう。温度刺激で副交感神経が働き、消化管の回復が促されます。

  • 昼:軽めの炭水化物+タンパク質

例:雑炊・湯豆腐・野菜スープなど。

血糖の安定と筋肉維持を両立させるバランスを意識します。

  • 夜:早め・少なめ・消化重視

20時以降の摂取は避け、発酵食品(納豆・ヨーグルトなど)を取り入れましょう。腸内環境の改善が代謝の再起動に役立ちます2)。

  • 水分補給のコツ

1日1.5〜2Lを目安に、常温の水や麦茶をこまめに摂取。

体内の余分な塩分を排出し、むくみを軽減します。スポーツドリンクは糖分に注意。

軽運動で代謝をリセット──血糖と循環を整える動き方

  • 翌日に“軽く動く”意味

食べすぎの翌日に全く動かないと、血糖値の上昇が続き、体内で脂肪合成が進みます。

ウォーキングやストレッチで筋肉を動かすことで、ブドウ糖がエネルギーとして使われやすくなり、代謝のリセットが可能になります。

  • おすすめの軽運動
  1. 朝:軽いウォーキング(20〜30分)

体温を上げ、血流とリンパの循環を促進します。

  1. 昼:ストレッチ+深呼吸

内臓の緊張を緩め、副交感神経を優位に。

  1. 夜:入浴後の軽ストレッチ

寝る前に筋肉を伸ばすことで、翌日の浮腫みを軽減。

  • 注意点

激しい運動や断食後の筋トレは、血糖の急変動を招きやすく危険です。

“軽く汗ばむ”程度が最適です。

整形外科的視点で見る“食べすぎリセット”──筋肉と代謝の関係

  • 筋肉は“代謝臓器”

筋肉は基礎代謝の約40%を担う“エネルギー工場”です。

暴飲暴食後に筋肉を動かすことは、単なる運動ではなく代謝の回復治療といえます。

  • 炎症と浮腫みの関係

脂質や糖質の過剰摂取は、体内の炎症性サイトカインを増加させ、筋肉や関節のリカバリーを遅らせます3)。

軽運動やストレッチはこの炎症反応を緩和し、筋肉・腱・関節の修復を助けます。

  • 我慢”より“循環”

整形外科では、血流と代謝の循環を重視します。

一時的な食事制限ではなく、**「動かして流す」**ことが、健康を保つ根本的なリセット法です。

参考文献

  1. Boron WF, et al.: Physiology of the gastrointestinal system. Med Physiol. 2nd ed. 2012.
  2. Ouwehand AC, et al.: The effects of probiotics on the gastrointestinal microbiota. Int J Food Microbiol. 171(2):117–124. 2014.
  3. Petersen AM, Pedersen BK: The anti-inflammatory effect of exercise. J Appl Physiol. 98(4):1154–1162. 2005.
  4. Walsh NP, et al.: Exercise and immune function. Exerc Immunol Rev. 17:6–63. 2011.
  5. Pedersen BK, Saltin B: Exercise as medicine—evidence for prescribing exercise as therapy in chronic disease. Scand J Med Sci Sports. 25(Suppl 3):1–72. 2015.

 



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