
ハイライト
「骨を強くするにはカルシウム」—。この常識は間違いではありませんが、実は半分正解でしかありません。カルシウムは単体では吸収されにくく、特定の栄養素を組み合わせて初めて骨へと届けられます。整形外科の視点から、効率的に骨密度を高めるための「食べ合わせ」の極意と、栄養を骨に変えるためのリハビリテーションの重要性について詳しく解説します。
目次
なぜカルシウムだけでは足りないのか?吸収率を左右する栄養のチームワーク

骨の材料といえば、真っ先に思い浮かぶのがカルシウムです。しかし、実はカルシウムは全栄養素の中でも「極めて吸収されにくい」という性質を持っています。成人の場合、食事から摂取したカルシウムのうち、身体に吸収されるのはわずか20%から30%程度に過ぎません。残りの大半は、吸収されずにそのまま体外へ排出されてしまいます。
● 吸収を阻む壁
- 小腸での吸収プロセス:カルシウムが腸を通過する時間は短く、自力で吸収される力は非常に弱いです。
- 加齢による変化:年齢を重ねると胃酸の分泌が減り、カルシウムが溶けにくくなるため、より吸収率が低下します。
つまり、「何を、どれだけ食べるか」と同じくらい、「どうやって吸収させるか」という戦略が重要になります。整形外科的に強い骨を作るためには、カルシウムを孤立させず、強力な助っ人たちとチームを組ませてあげることが不可欠なのです。
運び屋ビタミンDと接着剤ビタミンK。骨形成を支える「黄金のトリオ」

カルシウムを効率よく骨に届けるチームの主役は、「ビタミンD」と「ビタミンK」です。この3つが揃って初めて、効率的な「骨のリフォーム(代謝)」が行われます。
● 運び屋:ビタミンDの役割
ビタミンDは、腸管からのカルシウム吸収を劇的に助ける働きをします。
- 小腸でカルシウムをキャッチし、血液中へと導く「エスコート役」です。
- 不足すると、せっかく摂ったカルシウムが素通りしてしまいます。魚類(サケ、サンマ)やキノコ類に多く含まれ、日光浴によって肌でも合成されます。
● 接着剤:ビタミンKの役割
血液中に届けられたカルシウムを、骨の表面にピタッとくっつけて固定するのがビタミンKの役目です。
- 骨の中の「オステオカルシン」というタンパク質を活性化させ、カルシウムが骨に定着するのを助けます。
- さらに、骨からカルシウムが流出するのを防ぐブレーキの役割も果たします。納豆や緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリー)に豊富です。
「カルシウム+ビタミンD+ビタミンK」を一つの食事の中で揃えること。これが、整形外科医が推奨する骨活の基本フォーメーションです。
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