骨粗鬆症

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症について

骨粗鬆症とは、骨密度が低下することで骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です

骨粗鬆症とは、骨の量が減少することで骨がスカスカになる、または骨の質が劣化(質が悪くなる)することで骨の強度が低下して骨がもろくなってしまう病気です。骨粗鬆症になると軽くこけただけでも簡単に骨折します。
女性の方は閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)が減少するため、どうしても男性に比べて年を重ねる毎に骨がもろくなり骨密度の低下する割合は大きくなります。
整形外科医を長年やってたくさんの骨折患者さんを診てきましたが、ほとんどの方が実際に折れてみて初めて自分の骨密度が低かったのだと気づかれていました。
骨粗鬆症患者さんの割合は50%以上とも言われておりますが、実際に検査して治療を受けているのは約20%~30%と言われています。

骨折による影響

骨折による影響

骨折患者さんを診てまず思うのが「とても痛そう」です。手や足なら固定ができるため手術まである程度痛みのコントロールはできますが大腿骨頚部骨折(日本人の骨折部位第1位)であれば手術が終わるまでは少し動かすだけで激しい痛みを伴います。
手術が終わりましたら元通り歩けるようになるまで「定期的なリハビリテーション」があります。リハビリテーションを頑張っても骨折前の状態まで戻れない人も多く、「寝たきり」になってしまう人も少なくはないです。
「骨折の予防」と「寝たきり」を防ぐことが骨粗鬆症治療の大切な目的です。
そうならないためにも早期の検査と診断が必要です。

骨粗鬆症と診断するには

骨粗鬆症と診断するには

01骨密度検査

写真の機械を用いて骨密度を測定する『DEXA法』という検査を行います。
この検査にて腰椎と大腿骨の骨密度を測定します。
骨粗鬆症学会のガイドラインでも推奨されておりますが、正確な骨密度を評価するには腰椎と大腿骨の骨密度が重要になります。
放射線を用いた検査になりますが、被ばく量はレントゲンの10分の1以下ですので心配いりません。検査は数分で終わります。

02採血検査

定期的に採血検査を行い、「骨を作る能力」と「骨を壊す能力」を確認してお薬の種類を調整します。また、お薬の種類によってはカルシウムの値が低くなったり、腎臓の機能が低いと使えないお薬もあるため適切な治療薬を選ぶための目的と効果判定のために行います。

治療をいつから開始したらいいのか

治療をいつから開始したらいいのか

女性の方は40歳を超えたら、男性の方は50歳を超えたら1年に1回は骨密度の検査を行い、自身の骨密度を把握しておくことが凄く重要と考えます。
ほとんどの方は「自分は大丈夫」と思っておりますが、実際測ってみると意外と治療の必要がある結果になると思います。
骨粗鬆症学会の発表では日本人の骨粗鬆症患者数は約1280万人(男性:約300万人、女性:約980万人)です。約9人に1人が骨粗鬆症ですが、中高年の方に多いため中高年の方でみると割合はもっと高くなります。
また、現在では「大腿骨頚部骨折」と「腰椎圧迫骨折」を受傷した方もしくは過去に受傷したことがある方は骨密度の測定がなくても骨粗鬆症治療を開始するべきと言われております。過去に受傷した経験があり、現在何も骨粗鬆症治療を行っていない方は早期に治療を開始するべきです。
心配であれば検査だけでも可能ですので一度ご相談ください。

骨粗鬆症の治療について

治療をいつから開始したらいいのか

骨粗鬆症では、お薬による治療が中心となります。骨密度測定の結果、お薬の処方が必要と診断した場合には、患者さんとご相談の上、適切なお薬をご提案させて頂きます。現在、骨粗鬆症の治療薬として様々なものが開発されており、高い確率で骨折が防げるものや、週1回の飲み薬、月1回の飲み薬、半年に1回の注射、年に1回の点滴など選択肢はたくさんあり、生活背景と検査結果より決めます。
お薬以外では生活習慣の改善や定期的な運動も大事になってきます。

最後に

お歳を重ねていくと、骨折するだけで人生はガラっと変わります。
例えば…

・骨折前のように歩けなくなると人の手を借りないといけなくなる
・治療費、その後の通院費などお金がかかる
・今までできていたことができなくなる

整形外科としてたくさんの骨折患者さんを治療するだけでなく、術後のフォローをしていく中でたくさんの事を見てきました。
早期に検査して治療を開始する事で骨折を防げるようになり、生活の充実度は大きく変わります。
元気に毎日を過ごしていくためには治療も大事ですが同じくらい「予防」も大事です。
骨折はしないことに越したことはないので、心配な方や骨折歴のある方は気軽にご相談ください。