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2026年4月10日

スクワットは膝に悪いって本当?関節を守る正しいフォームとリハビリ効果

ハイライト

「スクワットは膝や腰を痛めるからやらない方がいい」という噂を聞いたことはありませんか?しかし整形外科の視点から言えば、正しいフォームで行うスクワットは、かえって膝の痛みを予防し、加齢による筋力低下(ロコモ)を防ぐ最強のリハビリテーションの一つです。本記事では、なぜスクワットが「膝に悪い」と誤解されがちなのか、関節に負担をかけずに筋肉を鍛える正しいフォームを解説します。

目次

スクワットが悪者にされてしまう「誤解」の理由

健康維持のために筋トレを始めようとした時、必ず候補に上がるのが「スクワット」です。しかし、「昔やったら膝を痛めてしまった」といったネガティブなイメージを持たれている方も少なくありません。

結論から申し上げますと、スクワットそのものが関節に悪いわけではありません。
『間違った身体の使い方(フォーム)』で行うことが、膝や腰のトラブルを引き起こしているのです。

人間の体は複数の関節を同時に連動させるようにできていますが、見よう見まねで運動をしてしまうと、特定の関節(特に膝)にだけ体重の数倍という過剰な負荷が集中してしまいます。この「一部への過負荷」が軟骨を傷める原因であるため、正しいフォームを身につけることが絶対条件となります。

下半身の筋肉を鍛えるメリットとは

スクワットが「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるほど推奨されるのは、非常に効率の良い全身運動だからです。

人間の筋肉の約70%は、お尻から太もも、ふくらはぎにかけての下半身に集中しています。スクワットは、太ももの前(大腿四頭筋)、裏(ハムストリングス)、お尻(大殿筋)などの大きな筋肉群を一度に鍛えることができます。

下半身の筋肉が強化されると、膝関節を強力にサポートしてくれるため、「変形性膝関節症」などの進行を遅らせ歩行時の痛みを和らげる効果があります。中高年者のロコモティブシンドローム予防や体力維持に最も適した運動なのです。

 

危険!膝や腰を痛めてしまう「NGなフォーム」

関節を痛めてしまう危険な【NGフォーム】とはどのようなものでしょうか。以下の2パターンに注意してください。

  • 膝から先に曲げてしまう(膝主導)
    最も多い間違いです。お尻を下げず、膝だけを前に突き出すようにしゃがむフォームです。この動きは膝のお皿の裏側に非常に強い圧力をかけ、軟骨を急激に傷めます。
  • 背中の丸まり・過度な反り腰
    しゃがむ時に猫背になったり、逆に過度に出っ尻にして腰を反らしたりすると、腰椎に負担がかかり腰痛を引き起こします。

関節を守る「正しいスクワット」の3つのポイント

 

膝と腰を守り、筋肉にしっかりと効かせるための安全なフォームをご紹介します。まずは重りを持たず、ご自身の体重のみで行ってください。

◆ ポイント1:足の位置と目線

足は肩幅より少し広めに開きます。つま先は真っ直ぐではなく、やや外側(30度程度)に向けます。視線は常に前か、やや斜め上を向くようにします。
◆ ポイント2:しゃがむ時の「股関節」の意識

膝から曲げるのではなく、『股関節(脚の付け根)から折りたたむように、お尻を後ろの椅子に突き出す』イメージでしゃがんでいきます。
◆ ポイント3:膝とつま先の方向を揃える

しゃがみ込んだ時、膝の真下に足首がくるように意識し、「膝がつま先より大きく前に出ない」ように注意します。また、膝が内側に入るのも靭帯を痛める原因となるため、膝は常につま先と同じ方向へ向けましょう。

しゃがむ深さは【太ももが床と平行になる程度】で十分です。痛みがある場合は無理に深くしゃがむ必要はありません。

不安な方は整形外科でのリハビリから

頭で理解していても、いざ自分の体が正しく動かせているかを判断するのは大変難しいものです。もし現在すでに痛みがある場合や、フォームが不安な場合は、無理をしてはいけません。

まずは整形外科を受診し、運動制限が必要な状態ではないか診断してもらうことが大切です。当クリニックのリハビリテーションでは、理学療法士が患者さんご自身の骨格に合わせて、「あなたに負担のない正しいフォーム」をマンツーマンで指導いたします。安全なフォームを習得し、一生涯自分の足で元気に歩ける筋肉を育てていきましょう。

参考文献

・日本整形外科学会 「変形性膝関節症」
・厚生労働省 「健康づくりのための身体活動基準」

 



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