コラム・ブログ

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2026年5月14日

夜中や運動中に突然足がつる!「こむら返り」の原因と、ミネラル補給・ストレッチの重要性

ハイライト

睡眠中やスポーツ中に突然ふくらはぎが激しく痛んで硬直する「こむら返り(足のつり)」。中高年になると、筋肉量の低下や血流の悪化により、日常的に引き起こされやすくなります。発汗による「ミネラル(マグネシウム等)不足」や、冷えによる「血行不良」が主な引き金です。つってしまった時は慌てず、痛くない範囲でゆっくりと足首を手前に反らして伸ばすのが正解です。こまめな水分補給と、日々のストレッチ(リハビリテーション)を習慣化することで予防できます。

目次

誰もが一度は経験する激痛。「こむら返り」の正体とは?

夜、気持ちよく眠っていたのに、突然ふくらはぎに引きちぎられるような激痛が走り、目が覚めてのたうち回った……。あるいは、テニスやゴルフなどのスポーツ中にピキッと足がつってしまい、動けなくなった……。そんな経験はありませんか?

このように、自分の意志とは関係なく筋肉が異常に強く収縮(痙攣:けいれん)してしまい、硬くこわばって元に戻らなくなる状態を、一般的に「こむら返り」や「足がつる」と言います。「こむら」とは、ふくらはぎの古い呼び名です。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋:ひふくきん)で起こることが最も多いですが、足の指、太ももの裏側、すねの筋肉などで起こることもあります。

数分間我慢すれば痛みはスッと引いていくことがほとんどですが、その間の痛みは強烈で、ひどい時には翌日まで筋肉痛のような違和感が残ることもあります。

なぜ足がつるのか? 「ミネラル不足」と「冷え」の深い関係

私たちの筋肉は、脳からの「縮め」「緩め」という電気信号を受け取って動いています。こむら返りは、この筋肉のコントローラーが一時的に「エラー(誤作動)」を起こし、過剰に縮みっぱなしになっている状態です。
では、なぜそのようなエラーが起きてしまうのでしょうか。主な原因は以下の3つです。

普段運動をしていない人が急に長距離を歩いたり、スポーツで筋肉を酷使したりすると、筋肉の中に疲労物質が溜まります。疲れた筋肉は柔軟性を失い、少しの刺激でも過敏に反応して異常収縮を起こしやすくなります。

筋肉の収縮と弛緩(緩むこと)をスムーズに行うためには、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの「ミネラル(電解質)」が不可欠です。スポーツで大量の汗をかいたり、就寝中にコップ一杯分の寝汗をかいたりすると、水分と一緒にこれらのミネラルが体から失われます。すると筋肉のセンサーが正常に働かなくなり、誤作動を起こしてつってしまうのです。

冬場の寒さだけでなく、夏場の冷房の効きすぎで足先が冷えると、血管が縮こまって血流が悪くなります。血流が悪くなると、筋肉に十分な酸素や栄養素が運ばれず、同時に疲労物質も洗い流されなくなるため、こむら返りを引き起こす大きな要因となります。明け方に足がつりやすいのは、睡眠中に体温が下がり、足が冷えやすくなるためです。

年齢とともに増える理由と、隠れた病気のリスク

「若い頃はこんなことなかったのに、最近頻繁に足をつるようになった」という中高年の方は少なくありません。
年齢を重ねると、運動不足により足の筋肉量自体が減少します。筋肉量が減ると、筋肉の中に蓄えておける水分量も減ってしまうため、脱水状態になりやすいのです。さらに、加齢による動脈硬化などで足全体の血流も悪くなりがちなため、ミネラル不足や冷えの影響をより強く受けてしまいます。

ただし、あまりにも頻繁に(例えば毎晩のように)こむら返りが起きる場合や、歩くたびにふくらはぎが痛むような場合は、ただの筋肉疲労ではないかもしれません。
糖尿病による神経障害や、足の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症(ASO)、腎臓の病気、あるいは腰部脊柱管狭窄症(腰の神経の圧迫)などの病気が隠れているサインである可能性もあります。不安な場合は放置せず、整形外科や内科を受診して原因を調べることが大切です。

痛みに襲われた時の正しい対処法「ゆっくり伸ばす」

もし、突然こむら返りが起きてしまったら、どうすればよいのでしょうか。痛みのあまり、ギュッと患部を揉みしだきたくなりますが、強く揉むと筋繊維を痛めてしまい、肉離れに繋がってしまうことがあります。

一番の正解は「慌てず、ゆっくりと筋肉を伸ばす(ストレッチする)」ことです。

  • ふくらはぎがつった場合の対処法:
  1. 痛い足を真っ直ぐに伸ばして座ります。
  2. つま先を手で掴み、自分の体の方(すねの方向)へ、ゆっくりと優しく引っ張ります。手で掴めない場合は、タオルをつま先に引っ掛けて引っ張るのも有効です。
  3. アキレス腱からふくらはぎの筋肉が伸びているのを感じながら、痛みが引くまで深呼吸をしてキープします。
  4. 立って壁に手をつき、アキレス腱を伸ばすストレッチの姿勢をとるのも良い方法です。

筋肉が緩んで痛みが引いたら、足をさすって温めたり、白湯やスポーツドリンクを少しずつ飲んで水分とミネラルを補給したりしてリラックスしましょう。

予防の鍵は日々の習慣にあり! クリニックが推奨するセルフケアとリハビリ

こむら返りを防ぐためには、エラーが起きにくい「しなやかで血流の良い筋肉」を作ることが重要です。当クリニックのリハビリテーションでは、患者様に合わせた予防体操や生活指導を行っています。ご家庭でも以下のセルフケアを取り入れてみてください。

  • こまめな水分・ミネラル補給

運動中はもちろん、日常生活でも意識して水分を摂りましょう。特に寝る前にコップ1杯の水を飲むことは、夜間のこむら返り予防に効果的です。また、マグネシウムを多く含む大豆製品(納豆や豆腐)、海藻類、ナッツ類を食事に取り入れることをおすすめします。

  • 足を冷やさない工夫

夏でも足首を冷やさないように薄手のレッグウォーマーを着用したり、寝る時は足元にタオルケットを一枚多めにかけたりする工夫が大切です。また、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって体を芯から温めることで、全身の血流が改善されます。

  • 毎日のストレッチ習慣

硬い筋肉は足がつる最大のリスクです。お風呂上がりや寝る前に、ふくらはぎや太もものストレッチを毎日数分でも良いので行ってください。当クリニックの理学療法士は、効率良く筋肉をほぐす正しいストレッチの角度や強さを指導いたします。

 

こむら返りは、体からの「水分が足りないよ」「筋肉が疲れているよ」というサインです。痛みを恐れて運動を控えるのではなく、しっかりとケアをした上で適度な運動を続けることが、結果的には最強の予防法となります。
もしストレッチの方法がわからない、何度も繰り返して不安だという方は、いつでもお気軽に当クリニックの専門スタッフにご相談ください。皆様の安眠と快適なスポーツライフをサポートいたします。

参考文献

・日本整形外科学会「こむら返り」
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツにおける熱中症予防と水分・電解質補給」
・関連するリハビリテーション医学および栄養学の最新知見

 

 



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