2026年6月14日

朝、指が曲がったまま動かしにくい、動かすとカクンと引っかかるといった症状は、腱鞘炎が進行したばね指の代表的なサインです。指の使いすぎや更年期・産後のホルモンバランスの変化が主な原因であり、放置すると指が固まって動かなくなる恐れがあります。当院では、超音波(エコー)を用いた正確な診断のもと、従来の薬物療法や注射の限界を見極め、患者さんの負担を最小限に抑えた画期的な治療を行っています。繰り返す痛みには、傷口わずか1mm・手術時間約5分で当日から手が使える切らない日帰りばね指手術をご提供。従来の手術との違いや安全性について、整形外科専門医が詳しく解説します。


朝起きたときに、なんだか手の指がこわばって動かしにくいと感じることはありませんか。
また、指を曲げ伸ばしするときに、カクンと何かに引っかかるような感覚があったり、手のひらの指の付け根あたりを押すと痛みを感じたりすることはないでしょうか。
これらはすべて、ばね指(弾発指)と呼ばれる病気の初期サインです。
なぜ朝に症状が強く出るのでしょうか。
寝ている間、私たちの手はほとんど動かされず、一定の姿勢に保たれています。そのため、夜の間に手や指の組織がむくみやすくなり、腱と腱鞘の隙間がさらに狭くなります。また、睡眠中の安静によって炎症を起こしている部分が軽く癒着しやすくなるため、朝一番に指を動かそうとしたときに、強いこわばりや引っかかり、痛みとなって現れるのです。
ばね指の正体は、指の筋肉と骨をつなぐ腱(けん)と、その腱が通るトンネルである腱鞘(けんしょう)の間で起こる慢性的な炎症です。
私たちの指は、腕から伸びる腱というひものような組織が引っ張られることで、曲げ伸ばしができます。この腱がブレたり浮き上がったりしないようにベルトのように押さえているのが、ストローのような形をした腱鞘という組織です。
通常であれば、腱は腱鞘の中を滑らかに行き来しています。しかし、何らかの理由でこの通り道に炎症が起きると、腱鞘の壁が腫れて分厚くなったり、腱そのものの一部がこすれてコブのように太くなったりします。
すると、太くなった腱が狭くなった腱鞘のトンネルを通過する際に引っかかるようになります。これが、指を動かしたときの引っかかり感や、カクンと跳ね返るような感覚(弾発現象)の原因です。
ばね指は、日常生活でよく使う親指、中指、薬指に多く見られます。特に親指は最も発症しやすい部位とされています。
最初は軽い違和感や一時的なこわばりから始まるため、「少し様子を見れば自然に治るだろう」と見過ごされがちですが、初期段階での適切な対処がその後の経過を大きく左右します。

ばね指が起こる原因は、大きく分けて日常生活の習慣、体内のホルモンバランスの変化、そして全身的な疾患の3つがあります。
まず1つ目は、指の日常的な使いすぎです。
手作業の多い仕事、例えば調理師や理美容師、裁縫職人、農作業に携わる方などは、指に繰り返し大きな負担がかかります。また、ゴルフや野球、テニスなどのクラブやラケットを強く握るスポーツも腱鞘へのストレスになります。さらに現代では、パソコンでの長時間のキーボード入力や、スマートフォンのフリック操作、あるいは重い端末を片手の指だけで支える持ち方によって、若者でも指を酷使し、ばね指を発症するケースが非常に増えています。
2つ目は、ホルモンバランスの変化です。
ばね指は、更年期の女性や、妊娠中・産後の女性に多く見られます。これは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に変化することで、滑膜(かつまく)や腱鞘が腫れやすくなり、腱の通り道が狭くなるためと考えられています。産後に慣れない育児の中で、赤ちゃんを繰り返し抱っこする動作が引き金になり、親指や手首に強い痛みを生じることも少なくありません。
3つ目は、全身疾患との関連です。
糖尿病、関節リウマチ、人工透析を受けている方は、血糖値の影響や免疫系の異常などにより、腱や腱鞘のコラーゲン繊維が変化して硬くなりやすく、ばね指を合併しやすいことが知られています。これらの病気がある方は、複数の指に同時にばね指を発症することもあります。
ばね指は放置すると、以下のように段階的に悪化していきます。
指の付け根(手のひら側)に痛みや腫れ、朝のこわばりを感じる段階です。この時期はまだ動かすときの引っかかりはありませんが、押すと明確に痛む場所があります。
指を曲げ伸ばししたときに、かすかな引っかかりを感じるようになります。スマートフォンの操作や、家事で物を掴むときに違和感を覚えます。
指を動かすたびに「カクン」「パチン」と跳ね返る現象(弾発現象)がはっきりと現れます。強い痛みを伴い、曲がったまま自力で伸ばせなくなり、反対の手で補助しないと指が伸ばせなくなることもあります。
長期間の炎症によって腱と腱鞘が硬く癒着し、関節自体が固まってしまいます。指が曲がったまま伸びない、あるいは伸びたまま曲がらない状態になります。
ステージ4に達すると、たとえ手術で腱鞘を切り開いても、指の関節そのものが固まっているため、元の滑らかな動きを取り戻すのに膨大な時間が必要になります。「そのうち治るだろう」と痛みを我慢せず、ステージ2や3の段階で専門医へ相談することが大切です。
