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2026年5月28日

走るとすねが痛い!初心者ランナーや新入部員を襲う「シンスプリント」の原因とリハビリテーション

ハイライト

走ったりジャンプしたりすると「すねの内側」が痛むのは、シンスプリントのサインです。部活に入りたての新入生や、急に運動量を増やしたランナーに頻発し、すねの骨に負担をかける「硬いふくらはぎ」や「足のアーチの崩れ」が主な原因となります。痛みを我慢すると疲労骨折に進行する危険があるため、早期の対処が必要です。一人ひとりの足の形に合わせた靴選びと、専門的なリハビリテーションが完治への近道となります。

目次

すねの内側がズキズキ痛む「シンスプリント」とは?

春先やスポーツの秋、新しくランニングを始めたり、部活動に入部して本格的な練習が始まったりした頃に、「走るとすねのあたりが痛い」と訴えるお子さんや若い方は少なくありません。休むと痛みが引くけれど、走り出すとまたズキズキと痛み出す。それは、スポーツ障害の代表格である「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎:けいこつかろうせいこつまくえん)」の可能性が高いです。

シンスプリントは、すねの骨(脛骨:けいこつ)の下から三分の一あたりの「内側」に沿って、ズキズキとした痛みや鈍痛が生じる状態を指します。陸上競技の長距離走をはじめ、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、走る・跳ぶ・急に止まるといった動作を繰り返すスポーツで非常によく見られます。

特徴的な症状には、以下のようなものがあります。

このような症状が出た場合、「ただの筋肉痛だからそのうち治るだろう」と安易に自己判断して練習を続けてしまうと、痛みが長期化し、最悪の場合は競技を長期間休まざるを得なくなってしまいます。すねの痛みは体からの「SOS」だと捉え、早めに向き合うことが大切です。

なぜ起こる? 初心者や新入部員が陥りやすい「急激な負担」

シンスプリントは別名「初心者病」とも呼ばれるほど、スポーツを始めたばかりの人や、練習環境が大きく変わった新入部員に多く発症します。なぜこのような時期にすねの痛みが起きやすいのでしょうか。その原因は「環境の変化」と「体の状態」のミスマッチにあります。

一番の原因は、体(筋肉や骨)がまだその運動に耐えられる準備ができていないのに、急激に運動量や練習の強度を増やしてしまうことです。ふくらはぎの筋肉は、すねの骨を包む「骨膜(こつまく)」という膜にくっついています。走る・跳ぶ動作を繰り返すことで、硬くなったふくらはぎの筋肉が骨膜を引っ張り続け、その結果として骨膜に炎症が起きて痛みとなります。

足の裏には、着地の衝撃を和らげる「土踏まず(アーチ)」があります。このアーチが下がっている扁平足(へんぺいそく)気味の人や、足首が内側に倒れ込みやすい(過回内:かかいない)癖がある人は、着地のたびにすねの内側の筋肉や骨に過剰なねじれのストレスがかかるため、シンスプリントになりやすくなります。

アスファルトやコンクリートなど、硬い路面ばかりを走ることも大きな負担となります。また、クッション性がすり減った古い靴や、自分の足の形に合っていないシューズを履いて運動することも、足元からの衝撃を直接すねに伝えてしまう要因になります。

そのまま走るのは危険! 疲労骨折との違いと見分け方

「痛いけれど、練習を休むとレギュラー争いから遅れてしまう」
「先輩たちも痛みを我慢してやっているから」
特に真面目で部活熱心なお子さんほど、痛みをギリギリまで我慢してしまう傾向があります。しかし、シンスプリントの痛みを無視して運動を続けると、単なる骨膜の炎症から、骨そのものに細かなヒビが入る「疲労骨折(ひろうこっせつ)」へと進行してしまう危険性があります。

疲労骨折にまで進行してしまうと、完全に運動を中止して長期間(数ヶ月単位)の安静が必要になってしまいます。そうなる前に、シンスプリントと疲労骨折の違いを知り、早めに整形外科を受診することが重要です。

  • 痛む範囲の違い

シンスプリントは、すねの内側に沿って「10センチ程度の広い範囲」でぼんやりとした痛みがあるのが特徴です。一方、疲労骨折の場合は、すねの骨の「ある1点だけ」がピンポイントで強烈に痛む(限局性圧痛)のが特徴です。

  • 安静時の痛みの違い

シンスプリントは運動中や運動直後に痛みが強くなり、休んでいると和らぐことが多いですが、疲労骨折になると、ベッドで寝ていて何もしていないときでもズキズキとうずくような痛み(安静時痛)が出ることがあります。

少しでも「1箇所だけがすごく痛い」「歩くのも引きずるくらい痛い」と感じた場合は、疲労骨折の疑いがあるため、絶対に無理をせずに当クリニックへご相談ください。レントゲンや超音波エコーなどの画像診断で、現在の骨の状態を正確に把握します。

痛みを繰り返さないために。当クリニックでのリハビリテーション

シンスプリントと診断された場合、痛みが強い時期はランニングやジャンプなどの負担のかかる運動を一時的に休止(安静)し、炎症を抑える治療を優先します。しかし、ただ休んで痛みが引くのを待つだけでは、運動を再開したときに高い確率で再発してしまいます。

根本的な原因を解決し、痛みを繰り返さない強い体を作るためには、専門家による「リハビリテーション」が不可欠です。当クリニックでは、スポーツ復帰に向けた段階的なサポートを行っています。

  • ふくらはぎと足首の柔軟性改善

理学療法士が、すねの骨を引っ張っているふくらはぎの筋肉(ヒラメ筋や後脛骨筋など)の硬さを丁寧に手技でほぐしていきます。また、足首の関節が硬いと着地の衝撃を吸収できないため、足首周りの可動域を広げるストレッチを念入りに行います。

  • 足のアーチを鍛えるトレーニング

足の裏の筋肉(足底腱膜など)を鍛え、崩れてしまった土踏まずのアーチを再構築するトレーニングを指導します。例えば、足の指でタオルを手繰り寄せる「タオルギャザー」などが効果的です。これにより、足本来のクッション機能を取り戻します。

  • 正しいフォームの獲得と股関節の使い方

シンスプリントになる人は、着地の際に膝から下だけで衝撃を吸収しようとする「ペタペタ走り」になっていることが多く見られます。股関節や体幹(お腹周り)の筋肉をうまく使い、体全体を大きなバネのように使って走るためのフォーム修正や動作指導を行います。

  • 物理療法の活用

痛みが強い急性期には、患部の炎症を鎮めるためにアイシングを行ったり、治癒を促進する超音波治療器を用いた物理療法を併用したりして、早期の除痛を図ります。

家庭でできるセルフケアと、足を守る正しい靴選び

クリニックでのリハビリテーションに加えて、ご家庭での毎日のセルフケアが回復を大きく早めます。親御さんも一緒になって、お子さんの足をケアする習慣を作ってみてください。

  • 運動後のアイシングと入浴後のストレッチ

練習後、すねが熱を持っていたり痛みがあったりする場合は、氷のうで10分〜15分ほどアイシングを行いましょう。逆に、帰宅して入浴した後は、体が温まり筋肉がリラックスしている状態ですので、ふくらはぎやアキレス腱のストレッチをゆっくりと行ってください。

  • 自分の足に合ったシューズ選びとインソール

シンスプリント予防には「靴」が非常に重要です。デザインだけで選ぶのではなく、かかとがしっかりしていて、クッション性が高く、足のアーチを適度に支えてくれるシューズを選んでください。靴底がすり減っている場合は、衝撃吸収性が落ちているため早めに買い替える勇気も必要です。
また、扁平足が強い場合は、靴の中に入れる医療用の中敷き(インソール)を作成することが劇的な効果をもたらすことがあります。当クリニックでもご相談を受け付けています。

  • 練習メニューの工夫(代替トレーニング)

走るのを休んでいる間も、エアロバイクを漕いだり、プールで歩いたり、体幹トレーニングを行ったりすることで、心肺機能や筋力を落とさずにスポーツへの早期復帰を目指すことができます。

シンスプリントは、スポーツに真剣に打ち込んでいるからこそぶつかる壁のようなものです。「休むことも練習のうち」という言葉があるように、痛みを無視せず、自分の体と向き合う良い機会だと捉えてみてください。
焦らずしっかりとケアをすれば、必ずまた思い切りグラウンドを走れるようになります。すねの痛みでお悩みの方は、ぜひお気軽に当クリニックへお越しください。リハビリテーションの専門スタッフが、皆様のスポーツ復帰を全力でサポートいたします。

参考文献

・日本整形外科学会「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」
・日本スポーツ協会「スポーツ外傷・障害の予防とリハビリテーション」
・臨床スポーツ医学会関連書籍および最新の知見に基づくガイドライン



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