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転んで肩を痛がるときは要注意。「子どもの鎖骨骨折」の治り方と親ができること

ハイライト

公園の遊具から落ちた、自転車で転んだ、走っていて肩から転倒した。そのあと子どもが腕を動かさない、肩のあたりを痛がる。そんなときは「鎖骨骨折」の可能性があります。鎖骨は子どもの骨折の中でも多い場所ですが、多くは固定だけできれいに治ります。気づくためのサイン、治るまでの流れ、ご家庭でできるサポート、そしてリハビリテーションと運動再開の目安を解説します。

目次

鎖骨はどんな骨で、なぜ子どもに折れやすいのか

鎖骨は、首の付け根から肩先へ向かって左右に伸びている、ゆるやかなS字型の骨です。胸の骨(胸骨)と肩甲骨をつなぎ、腕を体の幹に支える「つっかえ棒」の役割をしています。

鎖骨は皮膚のすぐ下にあり、筋肉に守られている部分が少ないため、肩に加わった衝撃をそのまま受けやすい骨です。子どもの骨折の中でも頻度が高い場所のひとつで、次のような場面でよく起こります。

肩を直接ぶつけたときのほか、転んで腕を伸ばして手をついたときにも、力が腕を伝わって鎖骨に集中し、折れることがあります。折れる場所は、鎖骨の真ん中あたりが最も多くなっています。

なお、出産の際に赤ちゃんの鎖骨が折れることもあります。多くは自然によく治りますので、産科や小児科で説明を受けた場合も、過度に心配する必要はありません。

こんな様子があれば鎖骨骨折を疑う

小さな子どもは、どこがどう痛いのかを上手に言葉にできません。次のような様子がないか、注意して見てあげてください。

●見た目の変化

●動きの変化

子どもの骨はやわらかく、骨の外側を包む膜(骨膜)も厚いため、ぽっきり折れずに曲がるように折れることもあります(若木骨折)。この場合は腫れが目立たず、「少し痛がるけれど動かせている」ように見えることがあります。転んだ後に痛がる様子が続く場合は、受診して確認しましょう。

受診までの間は、三角巾や大きめのタオルで腕を体につけて支えると、痛みが和らぎます。指先のしびれや色の悪さがある場合は、早めの受診が必要です。

診断と治療の基本は「固定」

診察では、腫れや痛みの場所を確認したうえで、レントゲンを撮影して骨折の位置やずれの程度を調べます。超音波(エコー)検査で骨の表面を観察し、レントゲンでわかりにくい小さな骨折を確認することもあります。

子どもの鎖骨骨折は、多くの場合、手術をせずに固定で治療します。子どもの骨は治る力が非常に強く、多少ずれがあっても、成長とともに骨の形が自然に整っていく(リモデリング)ためです。

◾️固定の方法

  • 三角巾(アームスリング)…腕を吊って、肩への負担を減らす
  • 鎖骨バンド…8の字に背中で交差させ、胸を張った姿勢を保つ

どちらを使うかは、年齢や骨折の状態によって選びます。固定期間は年齢によって異なり、小さな子どもでは数週間程度、年齢が上がるほど長めになる傾向があります。

◾️手術が検討される場合

骨の端が皮膚を突き破りそうになっている、ずれや短縮が大きい、神経や血管の症状がある、といった場合には手術を検討します。成長期の終わりに近い中高生のスポーツ選手では、状態によって手術が選ばれることもあります。

固定中のご家庭での過ごし方

固定している期間は、ご家族のちょっとした工夫が、お子さんの痛みと不安を和らげます。

◾️着替え

  • 前開きの、ゆったりした服を選ぶ
  • 着るときは痛い側の腕から、脱ぐときは痛くない側の腕から
  • 鎖骨バンドがゆるんでいたり、きつすぎたりしないか、毎日確認する

◾️寝るとき

  • あお向けで寝ると楽なことが多い
  • 痛い側の腕の下にクッションやタオルを置き、腕の位置を安定させる
  • 最初の数日は、上体を少し起こした姿勢のほうが楽な場合もある

◾️入浴

  • 固定を外してよいかどうかは、診察時に確認する
  • 入浴中は腕を体につけたまま、痛い側の肩を動かさないよう手伝う

◾️注意してほしいサイン

  • 手や指がしびれる、冷たい、色が悪い
  • 鎖骨バンドが当たる脇の下に、赤みや痛みが出ている
  • 痛みが日に日に強くなる

このような場合は、次の予約を待たずにご連絡ください。

学校や園には、骨折していることと固定期間を伝えておくと安心です。体育や外遊びの制限、荷物を痛くない側で持つことなど、配慮をお願いしておきましょう。

◾️ランドセルや通学かばん

両肩にかけるランドセルは、ベルトが鎖骨の上を通るため、固定期間中は負担になります。荷物を減らす、手提げにして痛くない側の手で持つ、学校に置いておける物は置かせてもらう、といった工夫をしましょう。

◾️心のケア

思うように遊べない期間は、子どもにとってストレスになります。お絵かきや読書、ボードゲームなど、腕に負担の少ない遊びを一緒に探してあげてください。「ちゃんと治ってきているよ」と経過を言葉で伝えることも、安心につながります。

回復の経過とリハビリテーション、運動再開の目安

骨がつき始めると、鎖骨の折れたところがこぶのように盛り上がって見えることがあります。これは仮骨と呼ばれる新しい骨で、骨がしっかりつながろうとしている証拠です。子どもの場合、このこぶは成長とともに時間をかけて目立たなくなっていくことがほとんどです。

固定が外れた後は、少しずつ肩を動かしていきます。

  • 腕を前後にぶらぶらと振る運動から始める
  • 痛みのない範囲で、腕を前や横へ上げる
  • ボールを転がす、壁に手をついて押すなど、遊びの中で動かす
  • 肩甲骨を寄せる、胸を張る運動で姿勢を整える

子どもは回復が早く、日常の遊びの中で自然に動きが戻ることが多いですが、動かすのを怖がる場合や、肩の動きに左右差が残る場合には、リハビリテーションで段階的に進めていきます。

スポーツへの復帰は、レントゲンで骨がしっかりついていること、肩を痛みなく動かせること、筋力が戻っていることを確認してから判断します。とくに接触のある競技や鉄棒などは、再び折れることを防ぐため、慎重に時期を決めましょう。

●けがを防ぐために親ができること

  • 遊具は年齢に合ったものを選び、小さいうちは近くで見守る
  • 自転車やキックボードでは、ヘルメットと手袋を着用する
  • 乳幼児をベッドやソファの上に一人で寝かせない
  • 転び方を覚える遊び(マット運動、前転など)で、体の使い方を身につける
  • 体幹やバランスを養う外遊びを日頃から十分に行う

けがをゼロにすることはできませんが、体の使い方が上手になると、大きなけがにつながりにくくなります。

鎖骨骨折は、子どもにとって大きな出来事ですが、適切に固定すれば多くはきれいに治ります。お子さんが肩を痛がる様子があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

FAQ

よくある質問

Q

骨がついた場所がこぶのように盛り上がっています。このままですか?

A

骨が治る過程でできる仮骨による盛り上がりです。子どもの骨は成長とともに形が整っていくため、多くは時間をかけて目立たなくなります。気になる場合は、経過観察の際にご相談ください。

Q

鎖骨バンドを嫌がって外してしまいます。どうしたらよいですか?

A

締め付けが強すぎたり、脇の下が擦れたりして不快なことがあります。脇に当たる部分にガーゼや柔らかい布をはさむ、締め具合を調整するなどで楽になることがあります。自己判断で長く外したままにせず、つけ方を一緒に確認しましょう。

Q

体育や習い事はいつから再開できますか?

A

年齢や骨折の状態によって異なりますが、骨がしっかりついたことをレントゲンで確認してから、軽い運動から段階的に戻していくのが一般的です。転倒や接触のある活動は、肩の動きと筋力が十分に戻ってからにしましょう。具体的な時期は診察で判断します。

参考文献

・日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「鎖骨骨折」



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