

骨は一度できあがったら変わらないものではなく、古い骨を壊す働き(骨吸収)と、新しい骨を作る働き(骨形成)を毎日くり返して、少しずつ入れ替わっています。閉経や加齢によってこのバランスが崩れ、壊すほうが上回ると、骨の量が減り、中身がスカスカになっていきます。これが骨粗鬆症です。
骨粗鬆症そのものには痛みがありません。困るのは、骨折が起こってからです。
治療薬の目的は、骨密度の数値をよくすることそのものではなく、骨折を防ぐことにあります。一度骨折すると次の骨折が起こりやすくなるため、骨折を経験した方ほど治療の意味は大きくなります。
●薬による治療を考えるきっかけ
骨密度は、腰の骨や太ももの付け根で測る方法が基本です。若い人の平均値と比べたときの割合や、これまでの骨折の有無、年齢などを合わせて、治療を始めるかどうかを判断します。血液や尿の検査で、骨の入れ替わりの速さ(骨代謝マーカー)を調べ、薬選びや効果の確認に役立てることもあります。
中高年の方はもちろん、若い世代や子育て世代の方にとっても、ご両親の骨の健康は身近なテーマです。「最近、背が縮んだ気がする」「背中が丸くなってきた」と感じたら、検査をすすめてあげてください。

現在、最も多く使われているのが、骨吸収を抑えるタイプの薬です。
◾️ビスホスホネート製剤
アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸、イバンドロン酸、ゾレドロン酸などがあります。飲み薬は毎日、週1回、月1回といった種類があり、点滴や注射で月1回や年1回のものもあります。
飲み薬は吸収されにくいため、起床時に水だけで飲み、その後30分ほどは横にならず、食事も控えるといった飲み方の決まりがあり
ます。
◾️SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)
ラロキシフェン、バゼドキシフェンなどの飲み薬です。女性ホルモンに似た働きで骨を守ります。主に閉経後の比較的若い世代の女性で使われます。
◾️デノスマブ
6か月に1回、皮下注射で投与する薬です。骨を壊す細胞の働きを強く抑えます。注意点として、自己判断で中止すると骨密度が急に下がり、背骨の骨折が起こりやすくなることが報告されています。やめる場合は、別の薬に切り替えるなどの対応が必要です。
FAQ
Q
薬はいつまで続ける必要がありますか?
A
薬の種類や骨折のリスクによって異なります。骨を作る薬のように使える期間が決まっているものもあれば、数年ごとに続けるかどうかを見直す薬もあります。骨密度や骨折の状況を確認しながら、主治医と相談して決めていきましょう。
Q
飲み忘れてしまいました。どうすればよいですか?
A
薬によって対応が異なります。毎日の薬と週1回・月1回の薬では考え方が違うため、2回分をまとめて飲むことはせず、処方された医療機関や薬剤師にご確認ください。飲み忘れが続く場合は、間隔の長い薬への変更も選択肢になります。
Q
骨粗鬆症の薬を使っていても運動して大丈夫ですか?
A
はい、むしろ運動との併用がすすめられています。運動は筋力やバランスを保ち、転倒を防ぐ助けになります。ただし、背骨の骨折がある方や強い痛みがある方は、運動の内容に注意が必要ですので、リハビリテーション担当者と相談しながら行いましょう。
参考文献
・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)
・日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「骨粗鬆症」
・骨粗鬆症財団 一般の方向け 骨粗鬆症の治療に関する解説