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飲み薬と注射、何が違うの。「骨粗鬆症の治療薬」の種類と続けるコツ

ハイライト

骨粗鬆症と診断されて薬をすすめられたけれど、種類が多くてよくわからない。痛くないのに飲み続ける意味があるのか迷っている。そんな方は少なくありません。骨粗鬆症の治療薬は、骨が壊れるのを抑える薬、骨を作る働きを高める薬、骨の材料を補う薬に分けられ、飲み薬と注射があります。それぞれの特徴と、続けることの大切さ、運動やリハビリテーションとの組み合わせ方を解説します。

目次

骨粗鬆症の薬はなぜ必要なのか

骨は一度できあがったら変わらないものではなく、古い骨を壊す働き(骨吸収)と、新しい骨を作る働き(骨形成)を毎日くり返して、少しずつ入れ替わっています。閉経や加齢によってこのバランスが崩れ、壊すほうが上回ると、骨の量が減り、中身がスカスカになっていきます。これが骨粗鬆症です。

骨粗鬆症そのものには痛みがありません。困るのは、骨折が起こってからです。

治療薬の目的は、骨密度の数値をよくすることそのものではなく、骨折を防ぐことにあります。一度骨折すると次の骨折が起こりやすくなるため、骨折を経験した方ほど治療の意味は大きくなります。

●薬による治療を考えるきっかけ

骨密度は、腰の骨や太ももの付け根で測る方法が基本です。若い人の平均値と比べたときの割合や、これまでの骨折の有無、年齢などを合わせて、治療を始めるかどうかを判断します。血液や尿の検査で、骨の入れ替わりの速さ(骨代謝マーカー)を調べ、薬選びや効果の確認に役立てることもあります。

中高年の方はもちろん、若い世代や子育て世代の方にとっても、ご両親の骨の健康は身近なテーマです。「最近、背が縮んだ気がする」「背中が丸くなってきた」と感じたら、検査をすすめてあげてください。

骨が壊れるのを抑える薬

現在、最も多く使われているのが、骨吸収を抑えるタイプの薬です。

◾️ビスホスホネート製剤

アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸、イバンドロン酸、ゾレドロン酸などがあります。飲み薬は毎日、週1回、月1回といった種類があり、点滴や注射で月1回や年1回のものもあります。

飲み薬は吸収されにくいため、起床時に水だけで飲み、その後30分ほどは横にならず、食事も控えるといった飲み方の決まりがあり

 

ます。

◾️SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)

ラロキシフェン、バゼドキシフェンなどの飲み薬です。女性ホルモンに似た働きで骨を守ります。主に閉経後の比較的若い世代の女性で使われます。

◾️デノスマブ

6か月に1回、皮下注射で投与する薬です。骨を壊す細胞の働きを強く抑えます。注意点として、自己判断で中止すると骨密度が急に下がり、背骨の骨折が起こりやすくなることが報告されています。やめる場合は、別の薬に切り替えるなどの対応が必要です。

骨を作る働きを高める薬と、材料を補う薬

 

骨形成を促す薬

骨折のリスクが特に高い方には、骨を作る働きを高める注射薬が選ばれることがあります。

  • テリパラチド、アバロパラチド…副甲状腺ホルモンに関連した薬。毎日または週1回の注射で、使える期間が決まっている
  • ロモソズマブ…月1回の注射を12か月行う。骨を作る働きを高め、壊す働きを抑える。心臓や脳の血管の病気がある方には慎重な判断が必要

これらは期間を区切って使い、終わったあとは骨吸収を抑える薬に切り替えて効果を保つのが一般的です。

◾️材料や調整役を補う薬

  • 活性型ビタミンD3製剤(エルデカルシトール、アルファカルシドールなど)…腸からのカルシウム吸収を助け、骨と筋肉の働きを支える
  • ビタミンK2製剤…骨の質
    を保つ働きに関わる
  • カルシウム製剤…食事で不足する場合に補う

どの薬を選ぶかは、骨密度、骨折の経験、年齢、腎臓の働き、ほかの持病、通院のしやすさなどを総合して決めます。「どれが一番よい」というより、「その方に合っていて続けられる」ことが大切です。

薬を続けることの大切さと、よくある不安

骨粗鬆症の薬は、飲み始めてすぐに実感できるものではありません。痛みが変わらないため、途中でやめてしまう方が少なくないことが知られています。しかし骨折を防ぐ効果は、続けることで得られます。

続けるための工夫として、次の方法があります。

  • 週1回、月1回の薬なら、曜日や日付をカレンダーに書いておく
  • 毎日飲むのが負担なら、間隔の長い薬や注射への変更を相談する
  • 定期的に骨密度を測り、変化を確認する
  • 副作用が心配なときは、やめる前に相談する

よく聞かれる不安についても触れておきます。

●あごの骨のトラブル

骨吸収を抑える薬では、まれに顎骨壊死(あごの骨の治りが悪くなる状態)が報告されています。お口の中を清潔に保ち、歯科の定期受診を続けることが予防になります。歯科治療の予定があるときは、薬を使っていることを歯科医師に伝えてください。

●太ももの骨の珍しい骨折

長期間の使用で、まれに太ももの骨に特殊な骨折が起こることがあります。太ももの付け根や外側に、それまでなかった鈍い痛みが続く場合は早めにご相談ください。

いずれもまれなもので、多くの方にとっては骨折を防ぐ利点のほうが大きいと考えられています。気になることがあれば、自己判断で中止せず、まずはご相談ください。

運動・リハビリテーションと食事を組み合わせる

薬は治療の柱ですが、それだけで十分というわけではありません。骨粗鬆症の治療は、薬・運動・食事の三本柱で考えます。

◾️運動とリハビリテーション

骨は、体重がかかったり筋肉に引っぱられたりする刺激で丈夫になろうとします。また、転倒を防ぐことは骨折予防そのものです。

  • ウォーキングなど、体重のかかる運動
  • 片脚立ちやかかとの上げ下ろしで、バランスと脚の筋力を養う
  • 背筋を伸ばす運動で、背骨の負担を減らす姿勢を保つ

あわせて、家の中の転倒対策も見直しましょう。

  • 床に置いたコードや敷物のめくれを片付ける
  • 夜間のトイレへの通り道に足元灯をつける
  • 浴室や階段に手すりを設ける
  • かかとのある、脱げにくい履物を選ぶ

すでに背骨の骨折がある方は、前かがみで強くひねる動きなどに注意が必要です。当院のリハビリテーションでは、骨の状態に合わせて安全な運動を一緒に考えます。

◾️食事

カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質をバランスよくとりましょう。乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜、きのこ類、魚などが役立ちます。適度な日光浴も、体内でのビタミンD生成を助けます。

骨粗鬆症の治療は、長く付き合っていく取り組みです。わからないことや続けにくさがあれば、遠慮なくご相談ください。

FAQ

よくある質問

Q

薬はいつまで続ける必要がありますか?

A

薬の種類や骨折のリスクによって異なります。骨を作る薬のように使える期間が決まっているものもあれば、数年ごとに続けるかどうかを見直す薬もあります。骨密度や骨折の状況を確認しながら、主治医と相談して決めていきましょう。

Q

飲み忘れてしまいました。どうすればよいですか?

A

薬によって対応が異なります。毎日の薬と週1回・月1回の薬では考え方が違うため、2回分をまとめて飲むことはせず、処方された医療機関や薬剤師にご確認ください。飲み忘れが続く場合は、間隔の長い薬への変更も選択肢になります。

Q

骨粗鬆症の薬を使っていても運動して大丈夫ですか?

A

はい、むしろ運動との併用がすすめられています。運動は筋力やバランスを保ち、転倒を防ぐ助けになります。ただし、背骨の骨折がある方や強い痛みがある方は、運動の内容に注意が必要ですので、リハビリテーション担当者と相談しながら行いましょう。

参考文献

・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)
・日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「骨粗鬆症」
・骨粗鬆症財団 一般の方向け 骨粗鬆症の治療に関する解説



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